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水仙は冬から春にかけて、うつむくように咲く花で庭先を明るく彩ってくれます。ところが、花が終わったあとにどう手入れすればよいのか、迷ってしまう方は少なくありません。葉はいつ切るのか、球根は掘り上げるべきか、来年もきれいに咲かせるにはどうすればいいのか。水仙の育て方で花が終わったらまず何をするべきか、疑問は次々に湧いてくるはずです。
実は、花が終わった直後の管理こそが、翌年の花つきを大きく左右する最重要ポイントになります。ここでの手入れを間違えると、翌年は葉ばかり茂って花が咲かないという、残念な結果を招きかねません。あなたの水仙が毎年きれいに咲くかどうかは、この時期の過ごし方にかかっているといっても大げさではないでしょう。
この記事では、花がら摘みや葉の扱い方から、肥料と水やり、球根の掘り上げと保存、さらには病害虫や毒性への注意点まで、順を追って丁寧に解説していきます。読み終える頃には、来年も美しい水仙を咲かせるための道筋が、はっきり見えているはずです。
- 花が終わった直後に切るべき花茎と、残すべき葉の見分け方
- 翌年にしっかり花を咲かせるための肥料や水やりのコツ
- 地植えと鉢植えそれぞれに合った夏越しと球根の管理方法
- 病害虫や毒性など、水仙を扱ううえで知っておきたい注意点
水仙の育て方|花が終わったらすべき手入れ
- 花がら摘みと花茎はどこで切る
- 葉っぱはどうする?葉を切る時期
- 葉の三つ編みや束ねるのはNG?
- お礼肥の与え方と肥料の選び方
- 花が終わった後の水やりのコツ
- 花が咲かない・葉ばかりの原因
花がら摘みと花茎はどこで切る
いい天気ですなー。水仙が賑やかに咲いてます。でも、一つの花茎から花が続々と咲くので、切り花にしにくいw 外の掃き掃除と雑草抜きをしてスッキリ。早く、春の種まきしたいなー。 pic.twitter.com/1UMeumNMvS
— natumi (@natumi040409) March 8, 2017
水仙の花が終わったら、最初にすべきなのは花がら摘みと花茎の切り取りです。花がしおれてきたら、できるだけ早めに花茎を根元から切り落としましょう。
なぜ早めに切る必要があるのでしょうか。花が咲き終わった水仙は、放っておくと受粉して種を作ろうとします。種づくりには、球根にたくわえられた養分が大量に使われてしまうのです。日本水仙のように種をつけない品種もありますが、多くの園芸品種では種さやがふくらみ、せっかくの栄養が種に奪われていきます。来年の花のために球根を太らせたいなら、種づくりを早い段階でやめさせるのが得策といえるでしょう。
ここで、花がらと花茎の違いを整理しておきます。花がらとは咲き終わってしおれた花そのもののことで、花茎とは花を支えていた茎の部分のことです。房咲きの品種では、一本の花茎にいくつもの花がつくため、すべての花がしおれてから花茎ごと切ると手間が省けます。一輪ずつ咲く品種でも、考え方は同じです。花が終わったものから順に、こまめに取り除いていきましょう。
具体的には、花のついていた茎、つまり花茎をたどっていき、葉の根元付近まで下がったところを清潔なハサミで切ります。ここで大切なのは、切るのは花茎だけにとどめ、緑色の葉には一切手をつけないという点です。花茎と葉の見分けに迷ったら、先端に花や種さやがついている茎が花茎だと覚えておくとよいでしょう。株まわりを清潔に保つことは、後述する病害虫の予防にもつながります。
ハサミは使う前に清潔にしておきましょう。汚れた刃物を使うと、切り口から病原菌が入り込み、株を弱らせる引き金になることがあります。特にいくつもの株を切るときは、一株ごとに刃を消毒しておくと安心です。
葉っぱはどうする?葉を切る時期
花が終わったあと、多くの方が頭を悩ませるのが葉っぱの扱いです。結論から言えば、緑色の葉は絶対に切らず、自然に黄色く枯れるまで残しておくのが正解になります。
葉を残す理由は、光合成にあります。花が終わったあとも、緑の葉は太陽の光を受けてせっせと養分を作り続けています。作られた養分は地下の球根へと送られ、来年の花のもとになるわけです。言ってしまえば、花後の葉は球根を育てるためのソーラーパネルのような役割を担っています。葉を早く切ってしまうことは、来年の花のエネルギー源を自ら断ち切る行為だと考えてください。
では、いつなら葉を切ってよいのでしょうか。目安は、葉全体の三分の二ほどが黄色や茶色に変わり、手で軽く触れると簡単に抜けそうになった頃です。時期でいうと、おおよそ六月から七月にかけての初夏にあたります。葉がまだ緑を残しているうちに切ると、球根が十分に太れず、翌年の花つきに響いてしまいます。
とはいえ、枯れかけの葉が庭先に広がる姿は、どうしても気になるものです。景観を優先して早めに切りたくなる気持ちも分かりますが、そこをぐっとこらえるかどうかで、翌年の花の数が変わってきます。目先の見た目と来年の花、どちらを取るかという小さな選択が、この時期には静かに待っているのです。どうしても待てないときは、次の見出しで触れる寄せ植えなどの工夫で乗り切る方法もあります。
葉を切る判断に迷ったら、緑が残っている葉は残す、を基本にしましょう。完全に黄色く枯れて倒れ込んだ葉から順に取り除いていけば、球根の養分を無駄にせずに済みます。
葉の三つ編みや束ねるのはNG?

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水仙の葉は花後にだらりと伸びて倒れ、見た目が乱れがちです。そこで、伸びた葉を束ねたり、三つ編みのように編み込んだりして整える方法が、古くからよく知られています。見た目がすっきりして風通しもよくなるといわれる手法ですが、球根を太らせるという観点からは、必ずしもおすすめできない面があります。
理由は、葉を強く縛ったり編んだりすると、光合成の効率が下がってしまうからです。葉を密集させると、外側の葉にしか日光が当たらず、内側に折り込まれた葉は日照不足に陥ります。さらに、成長して硬くなった葉を無理に折り曲げると、養分の通り道である葉の内部の管が傷つき、せっかく作った養分が球根まで届かなくなる心配もあります。加えて、葉どうしを密着させると間に湿気がこもりやすく、蒸れによる病気を招きやすくなる点も見逃せません。
もちろん、幼い苗のうちに軽く編む程度であれば大きな問題にはなりにくいものの、生長しきった硬い葉に強い力をかけるのは避けたほうが賢明です。あなたが景観と球根の健康の両方を大切にしたいなら、どちらか一方に偏らない折り合いのつけ方を選びたいところです。
| 葉の管理方法 | 見た目 | 光合成への影響 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| 自然な状態で放置 | 倒れて乱れやすい | 最大限に保てる | ◎ |
| 支柱で緩く寄せる | ある程度整う | ほぼ問題なし | ○ |
| 強く縛る・三つ編み | すっきりまとまる | 大きく低下する | △ |
見た目がどうしても気になる場合は、葉を強く縛るのではなく、支柱などで緩く軽く寄せる程度にとどめましょう。あるいは、周囲に背の低い草花を植えて、倒れた葉を自然に隠す方法もあります。
お礼肥の与え方と肥料の選び方
花が終わったら、開花で消耗した球根を助けるために肥料を与えるとよいとされています。花のあとに施す肥料は、お礼肥(おれいごえ)と呼ばれています。
なぜ肥料が必要なのでしょうか。開花は水仙にとって大きなエネルギーを使う出来事で、花が終わった直後の球根は、養分をほぼ使い果たした状態にあります。ここで栄養を補ってあげれば球根が太りやすくなり、翌年の花芽も作られやすくなるというわけです。
選ぶ肥料は、リン酸やカリウムを多めに含んだものが向いているといわれています。カリウムは根の発育や、球根への養分の移動を助ける働きをするためです。一方で、チッ素分の多い肥料は控えたほうが無難でしょう。チッ素が多すぎると葉ばかりが茂って軟弱になり、球根が腐りやすくなるといわれています。
与える時期は、花がら摘みを終えた直後から、葉が枯れ始める六月ごろまでが目安です。液体肥料なら二週間に一度ほど、緩効性の固形肥料なら製品の指示に従って与えます。ただし、多く与えれば与えるほどよいわけではありません。肥料が過剰になるとかえって球根を傷めることがあるため、パッケージに書かれた量を守るようにしてください。
ここで、植え付け時に混ぜる元肥(もとごえ)とお礼肥の役割の違いにも触れておきましょう。元肥は、これから根を張り芽を出すための土台となる栄養です。一方のお礼肥は、花を咲かせて疲れた球根を回復させ、来年の花芽を作るための追加の栄養にあたります。同じ肥料でも、与える時期によって果たす役目が変わってくるわけです。葉の色が薄い、勢いがないと感じるときは、活力剤を併用して様子を見る方法もあります。ただし活力剤は肥料の代わりにはならないため、あくまで補助と考えておくと失敗が少なくなります。
花が終わった後の水やりのコツ
花が終わったあとの水やりは、葉が緑色かどうかで大きく変わってきます。葉が緑のうちはまだ活動している時期なので水を必要としますが、葉が枯れて休眠期に入ると、逆に水を控える必要が出てきます。
葉が緑色の間、水仙は光合成のために水分を欲しがっています。ここで急に水やりをやめると、土が乾いて根が養分を吸えなくなり、球根が太らなくなってしまいます。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るくらいたっぷり与えるのが基本です。ただし、受け皿に水をためたままにすると根や球根が傷みやすいので、たまった水はこまめに捨てましょう。
地植えの場合は、基本的に雨だけで足ります。よほど乾燥が続かない限り、人の手による水やりはほとんど要りません。
葉が完全に黄色く枯れて休眠期に入ったら、水やりの考え方は一変します。休眠中の球根は水をあまり必要とせず、むしろ過湿を嫌うからです。特に鉢植えでは、水を与えすぎると球根が蒸れて腐る原因になります。あなたが夏越しを成功させたいなら、休眠期の水の与えすぎには十分気をつけてください。
花が咲かない・葉ばかりの原因
毎年きれいに咲いていた水仙が、いつの間にか葉ばかり茂って花が咲かなくなった、という悩みは非常に多く聞かれます。花が咲かない背景には、たいてい複数の原因が重なっています。
もっとも多いのが、葉をまだ緑のうちに切ってしまうケースです。前述の通り、葉は球根を太らせるための養分工場のような存在です。早く切りすぎると球根が育ちきらず、花を咲かせるだけの力を蓄えられません。
次に多いのが日照不足です。水仙は日光を好む植物で、花芽を作るには一日六時間ほどの日当たりが必要とされています。建物の陰や木の下など、光の乏しい場所では花芽ができにくくなります。また、花芽の準備には冬の寒さも欠かせません。寒さを避けようと暖かい室内に置き続けると、かえって花が咲かなくなることがあります。
さらに、球根を長く植えっぱなしにしたことによる過密も、原因のひとつです。地中で球根が増えすぎると、限られた養分やスペースを奪い合い、一つひとつが花を咲かせるサイズまで育てなくなります。この状態になったら、後述する掘り上げと分球でリセットする必要があります。
意外と見落とされがちなのが、花のあとの水切れです。前述の通り、葉が緑のうちは球根を太らせる大切な時期にあたります。にもかかわらず、花が終わったからと水やりをぱたりとやめてしまうと、土が乾いて養分の吸収が止まり、球根が十分に育ちません。逆に、休眠期まで水を与え続けて過湿にしてしまうのも問題です。時期に応じた水加減が、翌年の花つきを静かに左右しているといえるでしょう。あなたの水仙が葉ばかりになっているとしたら、いくつかの原因が同時に起きていないか、一度振り返ってみてください。
| 花が咲かない主な原因 | おすすめの対策 |
|---|---|
| 葉を早く切りすぎた | 葉は黄色く枯れるまで残す |
| 日当たりが足りない | 日当たりのよい場所へ移す |
| 冬に暖かい室内で管理した | 屋外で冬の寒さに当てる |
| 球根が過密になっている | 掘り上げて分球する |
| チッ素肥料の与えすぎ | リン酸・カリ中心に切り替える |
水仙の育て方|花が終わったら夏越しと球根管理

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- 地植えは植えっぱなしで大丈夫?
- 鉢植えと水耕栽培の夏越し方法
- 球根の掘り上げ時期とやり方
- 分球で水仙を増やす手順
- 掘り上げた球根の消毒と保存
- 軟腐病やモザイク病の病害虫対策
- ニラと間違えない毒性の注意点
地植えは植えっぱなしで大丈夫?
地植えの水仙は、基本的に数年間は植えっぱなしにしても、毎年花を咲かせてくれます。日本の気候によく合った丈夫な植物で、球根が自然に増えて群れをなし、見応えのある景観を作ってくれるのが魅力です。
とはいえ、いつまでも掘り上げなくてよいわけではありません。三年から四年ほどはそのままで問題ありませんが、四年以上放置すると球根が増えすぎて過密になり、花つきが悪くなっていきます。花が減ってきたと感じたら、掘り上げて植え直すサインだと受け止めてください。
もうひとつ気をつけたいのが、夏の過湿です。地植えは土の量が多く温度変化がゆるやかなので夏越しに向いていますが、水はけの悪い場所では話が変わります。梅雨や長雨で土に水がたまると、球根が蒸れて軟腐病などで腐るおそれが高まります。日本の夏は高温多湿で、地域によっては梅雨から初秋にかけてまとまった雨が降るため、水はけの管理は思いのほか重要です。
水はけが心配な場所では、あらかじめ腐葉土やパーライトを混ぜて土をふかふかにしたり、少し高く土を盛って植えたりする工夫が役立ちます。また、休眠期には落葉樹の株元のように、適度な木漏れ日になる場所が地温の上がりすぎを防いでくれます。
鉢植えと水耕栽培の夏越し方法
鉢植えの水仙は、地植えとは事情が大きく異なります。鉢の中は土の量が少なく、夏の直射日光で高温になりやすいうえ、少しの雨で過湿になりがちです。そのため、夏越しには地植え以上の気配りが求められます。
鉢植えの夏越しでまず行うのは、葉が完全に枯れた段階で水やりをやめることです。そのあとの管理には、二つの方法があります。一つは、雨の当たらない風通しのよい日陰に鉢ごと移し、秋のお彼岸過ぎまで水を与えずに乾かして越す方法です。もう一つは、葉が枯れた直後に球根を土から掘り上げて保存する方法になります。鉢植えは球根が過密になりやすいため、毎年あるいは二年に一度は掘り上げると、花つきが安定しやすくなります。
掘り上げて秋に植え直す場合は、古い土をそのまま使い回すのは避けたほうが無難です。使い古した土は栄養が抜けているうえ、水はけも悪くなり、病気の菌が残っていることもあります。新しい培養土を用意し、水はけをよくするために軽石やパーライトを混ぜると、根が元気に張りやすくなります。鉢のサイズは、球根の頭が隠れる程度の深さを確保できるものを選びましょう。あなたが毎年鉢で水仙を楽しみたいなら、この植え替えのひと手間が長く咲かせ続けるコツになります。
水栽培で楽しんだ水仙の場合
ヒヤシンスのように水だけで育てる水栽培で花を楽しんだ水仙は、開花後に球根の養分がほとんど残っていません。水だけの環境では球根を太らせることができないため、翌年も咲かせたい場合は工夫が要ります。花が終わった直後から、水栽培用の薄めた液体肥料を与えて根から養分を吸わせ、六月ごろに葉が黄色くなるまで続けましょう。そのあとは球根を取り出してよく乾かし、秋に土へ植え替えると、回復する見込みが高まります。ただし、必ず翌年咲くとは限らない点は、あらかじめ知っておいてほしいところです。
球根の掘り上げ時期とやり方
球根を掘り上げる最大のポイントは、あわてて早く掘らないことです。葉が青いうちに掘り上げると、球根の回復が途中で止まってしまいます。適した時期は、葉の三分の二から全体が黄色や茶色に変わり、地上部が枯れて倒れ込んだ六月下旬から七月ごろ、ちょうど梅雨入り前や梅雨の晴れ間にあたります。
掘り上げるときは、スコップを深めに差し込み、球根の底を傷つけないよう土ごと大きく起こしましょう。掘り上げたばかりの球根は水分を多く含んで傷つきやすいので、直射日光の当たらない風通しのよい半日陰に数日から一週間ほど置き、表面の土を乾かします。土が乾いたら、古い根や枯れ葉、はがれかけた外皮を手で丁寧に取り除いていきます。
掘り上げの作業は、できれば梅雨に入る前や、雨の合間の晴れた日を選びたいところです。土が水を含んでいると球根も傷みやすく、乾かすのにも時間がかかってしまいます。逆に、地上部がまだ青々としている時期に慌てて掘り上げるのは禁物です。繰り返しますが、葉が働いている間は球根が力をためている最中で、途中で掘り上げると回復が止まってしまいます。焦らず、葉がしっかり役目を終えるのを待つことが、結果として翌年の花への近道になります。
掘り上げに向いているのは、丸くふっくらとした球根です。細長く軽い球根は花芽を持っていないことが多く、掘り上げても翌年は花が咲きにくい傾向があります。球根の形を見れば、来年の花のおおよその見当がつくというわけです。
分球で水仙を増やす手順

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水仙は、掘り上げた球根を分けることで数を増やせます。親球のわきには、子球と呼ばれる小さな球根が育っているものです。この子球を分ける作業のことを、分球と呼びます。特別な道具は要らず、家庭でも手軽に取り組める増やし方といえるでしょう。
分球のコツは、手で軽くねじって自然に外れるものだけを分けることです。ナイフで無理に切り離したり、力任せに引きはがしたりすると、球根の底にある発根部分を傷つけ、そこから腐敗菌が入り込む原因になります。自然に外れないものは、無理をせずそのままにしておきましょう。
分けた球根は、大きさで役割を分けると効率的です。大きな球根は花を咲かせる用として植え、小さな子球は育成用として間隔を広めにとって植えます。小さすぎる子球は花が咲くまでに数年かかることもありますが、あきらめずに肥料を与えて育てれば、やがて花を咲かせるようになります。あなたの庭の水仙が少しずつ増えていく過程は、育てる楽しみのひとつではないでしょうか。
掘り上げた球根の消毒と保存
掘り上げて分球を終えた球根は、消毒してから保存すると、翌年に病気を持ち越しにくくなります。土の中の病原菌を残さないために、球根を水洗いして泥を落としたあと、殺菌剤を薄めた液に浸ける方法が知られています。
殺菌剤を使う場合は、必ず製品に記載された希釈倍率と浸ける時間を守ってください。浸けたあとは、再び風通しのよい日陰でしっかり乾かすことが大切です。濡れたまま保管すると、消毒液そのものが過湿の原因となり、逆効果になってしまいます。
保存の際は、完全に乾いた球根を通気性のよいネットに入れ、雨や直射日光の当たらない、風通しのよい涼しい暗所に吊るしておきます。ミカンが入っていた網袋などで代用してもかまいません。ここでやってはいけないのが、湿気のこもる段ボール箱での密閉保管や、高温になる室内での保管です。球根が蒸れて腐ったり、芽が出るタイミングが狂ったりする原因になります。この状態で、秋の植え付け時期まで静かに休ませましょう。
軟腐病やモザイク病の病害虫対策
水仙は毒を持つため動物には食べられにくい植物ですが、特定の病気や害虫には弱い一面があります。代表的なものを知り、早めに手を打つことが大切です。
軟腐病とモザイク病
軟腐病は細菌によって起こる病気で、気温が上がって湿度の高くなる梅雨ごろに発生しやすくなります。球根や地際がドロドロに溶け、強い悪臭を放つのが特徴です。主な原因は土の過湿と、チッ素肥料の与えすぎとされています。予防には、水はけのよい土づくりと、花後のチッ素肥料を控えることが有効でしょう。
モザイク病はウイルスによる病気で、葉に黄緑色のまだら模様やかすれた縞が現れ、株が縮んで育ちが悪くなります。ウイルス病はいったんかかると治せないため、見つけしだい球根ごと抜き取り、袋に密閉して処分するしかありません。主にアブラムシが病気を運ぶので、アブラムシを早めに防除することが予防につながります。
スイセンハナアブに注意
スイセンハナアブは、球根を食い荒らす、特に警戒すべき害虫です。ハチに似た成虫が春から初夏に飛来し、株元の土に卵を産みます。ふ化した幼虫は球根の中に潜り込んで内部を食べ、被害を受けた球根は中が空洞になって腐ったり、翌春に葉が数枚出るだけになったりします。産卵期に株全体を防虫ネットで覆う、未熟な堆肥を使わない、といった予防が効果的でしょう。
もし掘り上げた球根が不自然に柔らかかったり、底のあたりに虫食いの穴が見つかったりしたら、中に幼虫が潜んでいる可能性があります。その場合は、ほかの球根への広がりを防ぐためにも、ためらわず処分するのが安全です。多くの球根をまとめて扱う生産の現場では、掘り上げた球根を温かいお湯に一定時間浸けて内部の幼虫を退治する温湯消毒という方法も知られています。家庭で無理に行う必要はありませんが、こうした害虫が存在することを頭の片隅に置いておくだけでも、早めの発見につながるはずです。
| 病害虫 | 主な症状 | おすすめの対処法 |
|---|---|---|
| 軟腐病 | 球根が溶けて悪臭を放つ | 罹病株を土ごと処分し排水を改善 |
| モザイク病 | 葉にまだら模様や縞が出る | 抜き取り処分しアブラムシを防除 |
| スイセンハナアブ | 球根の内部が空洞になる | 防虫ネットで覆い被害球は処分 |
ニラと間違えない毒性の注意点
最後に、水仙を育てるうえで絶対に知っておきたいのが毒性の問題です。水仙は花も葉も茎も球根も、すべてに毒を持つ有毒植物とされています。誤って口にすると、食後三十分ほどという短い時間で吐き気や嘔吐、下痢、頭痛などの症状が出るといわれ、重症になると命に関わる場合もあると報告されています。
特に注意したいのが、食用の植物との取り違えです。花のない時期の水仙の葉は、野菜のニラによく似ています。また、掘り上げた球根はタマネギやノビルに似ているため、毎年のように誤食による食中毒が後を絶ちません。日本中毒情報センターによると、水仙の花が枯れて葉だけになる四月から五月ごろに、ニラと間違えて採取し調理したという相談が多くなるとされています。過去には、産直コーナーでニラと表示された植物が実は水仙だった、という事例も報告されているほどです。
見分ける手がかりの一つが匂いです。ニラやネギの仲間は、葉をちぎると強いニンニクのような匂いがしますが、水仙の葉には青臭さしかありません。葉の断面にも違いがあり、ニラは平らなのに対し、水仙はやや厚みがありV字型になっているといわれています。ただし、匂いや形だけを頼りにするのは危険です。確実な予防策は、食用の植物と水仙を同じ場所に植えないこと、そして少しでも判断に迷うものは採らない、食べない、人にあげないことに尽きます。
水仙の毒性については、公的な機関も繰り返し注意を呼びかけています。万が一誤って口にして異常を感じた場合は、自己判断で様子を見るのではなく、早めに医療機関を受診してください。(参照:日本中毒情報センター)
花が終わったあとの水仙は、来年に向けてじっと力をためている最中です。少しの手間をかけてあげるだけで、応えるように毎年花を咲かせてくれます。あなたも、この時期の一手間をぜひ大切にしてみてください。
総括:水仙の育て方|花が終わったらすべき手入れと球根管理
- 花が終わったら花茎を根元から早めに切り種づくりを防ぐ
- 切るのは花茎だけで緑色の葉は残しておく
- 葉は光合成で球根に養分を送るソーラーパネルの役割を持つ
- 葉を切る目安は三分の二が黄色く枯れる六月から七月ごろ
- 葉を強く縛る三つ編みは光合成が落ちるためおすすめしにくい
- 見た目が気になるときは支柱で緩く寄せる程度にとどめる
- 花後はリン酸やカリ主体のお礼肥で球根の回復を助ける
- チッ素の多い肥料は葉ばかり茂り球根が腐りやすいので控える
- 葉が緑のうちは水を切らさず休眠期は過湿を避ける
- 花が咲かない主な原因は葉の早切りや日照不足や過密
- 地植えは三年から四年で掘り上げ植え直すのが目安
- 鉢植えや水栽培は夏の高温と過湿に特に気をつける
- 掘り上げは葉が枯れて倒れた六月下旬から七月が適期
- 子球は手で自然に外れるものだけを分けて増やす
- 球根は消毒して乾かし涼しい暗所に吊るして保存する
- 軟腐病やモザイク病やスイセンハナアブは早期の予防が肝心
- ニラなどと似た有毒植物なので食用植物とは分けて植える