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さつまいものつる取り用の育て方|種芋選びから採苗のコツまで解説

さつまいものつる取り用の育て方|種芋選びから採苗のコツまで解説

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さつまいものつる取り用の育て方を知りたいと考えている方は、自分で苗を増やして栽培コストを抑えたい、あるいは好みの品種を自給したいという目的をお持ちではないでしょうか。近年はさつまいもの苗価格が上昇傾向にあり、さらに基腐病と呼ばれる病気の拡大によって、自ら健全な苗を育てる重要性が高まっています。

つる取り用の栽培は、一般的なさつまいも栽培とは異なり、イモを太らせるのではなく、母株からいかに多くの良質なつる苗を得るかが目的となります。種芋の選び方や温度管理、採苗の方法を正しく理解すれば、家庭菜園でも十分に実践できる技術です。一方で、温度が足りずに芽が出なかったり、病気を持ち込んでしまったりと、知識不足による失敗も少なくありません。

この記事では、さつまいものつる取り用の育て方について、種芋の準備段階から採苗、病害対策、さらには翌年に向けた冬越しの方法まで、データベースに基づいた情報を幅広くお伝えしていきます。

  • 種芋の選び方と伏せ込み前に行う消毒処理の手順
  • 苗をしっかり育てるための温度や湿度の管理方法
  • 採苗時に守るべき位置や衛生管理のルール
  • 基腐病対策や芽が出ないときの原因と冬越しの方法
目次

さつまいものつる取り用の育て方|種芋から採苗まで

  • 種芋の選び方と上下の見分け方
  • 温湯消毒と催芽処理のやり方
  • 伏せ込みの温度・湿度管理のコツ
  • 温床・冷床・水耕の育苗方法の違い
  • 採苗は地際5cm以上でカットする
  • 肥料と追肥で苗の質を高めるポイント

種芋の選び方と上下の見分け方

つる取り用の育苗を成功させるうえで、最初の関門となるのが種芋の選定です。結論から言うと、200gから300g程度の重さで、表面に傷や病変がなく、ハリのある健全な芋を選ぶことが最も大切になります。

なぜこのサイズが適しているかというと、芋の内部に蓄えられた養分が芽の発生を支えるためです。小さすぎる芋では養分が足りず、芽の数や勢いが弱くなりがちです。逆に大きすぎると苗床のスペースを圧迫してしまい、限られた面積から取れる苗の数が減ってしまいます。200g〜300gの範囲であれば、養分量と苗床の効率をバランスよく両立できるとされています。

もう一つ覚えておきたいのが、芋の上下(極性)を正しく見分けることです。さつまいもには、もともと親株とつながっていた側を「なり首」と呼び、反対側を「根端」と呼ぶ構造があります。芽は主になり首側、つまり上側から出やすく、根は下側から伸びる傾向にあります。この向きを間違えて伏せ込むと、芽の出方がまばらになったり、出芽が遅れたりすることがあるため注意が必要です。

上下の判別がつかない場合は、芋を水に入れてみる方法が有効です。わずかに沈む側が下(根端側)になるとされています。伏せ込む前にこのひと手間を加えるだけで、芽の出方が揃いやすくなります。

種芋を手に入れる際は、園芸店やホームセンターなどで販売されている育苗用の種芋を選ぶのがおすすめです。食用として販売されているさつまいもは、病害の有無や貯蔵中の温度履歴が不明なことが多く、種芋として適しているとは限りません。基腐病をはじめとする病害を苗床に持ち込まないためにも、来歴のはっきりした健全な育苗用種芋を使うことが安全な選択です。

温湯消毒と催芽処理のやり方

種芋を苗床に伏せ込む前に、必ず行っておきたいのが消毒と催芽(さいが)の処理です。この工程を省くと、黒斑病などの病原菌を苗床に持ち込んでしまうリスクが高まります。

代表的な方法が温湯消毒と呼ばれる処理です。ただし、消毒の対象や目的によって推奨される温度と時間が異なるため、条件の違いを正しく理解しておくことが重要になります。

種芋の黒斑病対策としての温湯消毒

古くから行われてきた手法で、47℃〜48℃のお湯に種芋を40分間浸ける方法です。この条件は主に黒斑病菌の不活性化を目的とした既存技術として知られています。芋の組織を傷つけにくい温度帯で処理できるのが特徴で、同時に適度な温熱刺激が休眠を打破し、芽が出やすくなる催芽効果も期待できます。

基腐病対策としての蒸熱処理

近年深刻化している基腐病への対策としては、より高温・長時間の蒸熱処理が研究されています。公的な研究機関の成果情報では、種芋に対して48℃で100分間の蒸熱処理を行う手法が報告されています。また、つる苗に対しては48℃で15分間という条件が示されている資料もあり、対象によって処理条件が異なる点に注意が必要です。

いずれの処理においても、水温の管理には十分な注意が求められます。50℃を超えると芋の組織が壊死してしまい、逆に温度が低すぎると殺菌効果が不十分になるとされています。温度計を使って正確に計測しながら、お湯の温度を一定に保つようにしましょう。また、基腐病対策としての蒸熱処理条件は地域の防除指針や最新の研究成果を確認したうえで実施することが大切です。

温湯消毒に加えて、薬剤を用いた浸漬消毒を組み合わせる場合もあります。具体的な薬剤名や倍率、浸漬時間は地域の防除暦や指導機関の推奨に従うのが原則です。自己判断で条件を変えると効果が得られなかったり、薬害が出たりする可能性があるため、お住まいの地域の農業改良普及センターや病害虫防除所の情報を確認するようにしてください。

なお、種芋を長期保存する前には、キュアリング処理を行う場合もあります。30℃〜33℃で湿度90%以上の環境に4日間ほど置くことで、収穫時にできた傷口にコルク層が形成され、貯蔵中の腐敗を抑える効果が見込めます。秋に芋を掘り上げてから翌春の伏せ込みまでの間、芋を良い状態で保ちたいときに役立つ技術です。

処理の種類 対象 具体的な条件 主な目的
温湯消毒(黒斑病対策) 種芋 47〜48℃のお湯に40分間浸漬 黒斑病菌の殺菌と催芽促進
蒸熱処理(基腐病対策) 種芋 48℃で100分間(研究機関の成果情報) 基腐病菌の不活性化
温湯消毒(基腐病対策) つる苗 48℃で15分間(公的資料の例) 苗に付着した基腐病菌の抑制
キュアリング 種芋(貯蔵前) 30〜33℃・湿度90%以上で4日間 傷口修復による貯蔵性の向上

伏せ込みの温度・湿度管理のコツ

伏せ込みの温度・湿度管理のコツ

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さつまいもの育苗において、温度は芽の出方を左右する最も重要な要素です。伏せ込みから出芽までの「萌芽期」と、芽が伸びていく「伸長期」で目標温度が異なるため、段階ごとに管理を切り替える必要があります。

萌芽期に求められるのは、地温30℃前後の環境を安定的に維持することです。この高い温度が芋の内部で眠っていた不定芽の分化を促します。気温が20℃を下回ると芽の動きは著しく鈍くなり、10℃以下では芋自体が低温障害を起こして腐り始める恐れがあるため、十分な加温対策が欠かせません。

芽が確認できたら、伸長期の管理に移行します。この段階では、昼間の温度を25℃〜30℃、夜間は15℃〜18℃程度にやや下げて管理するのが適切です。昼と夜の温度差をつけることで、茎が太くて節間の詰まった、しっかりした苗に育ちやすくなります。逆に35℃を超えるような高温が続くと、苗が軟弱になったり葉が焼けたりすることがあるため、天気のよい日はトンネルや覆いの裾を開けて換気するようにしましょう。

湿度の管理も見逃せないポイントです。土壌の水分量は60%〜80%が適正範囲とされています。さつまいもの種芋は内部に豊富な水分を蓄えているため、水のやりすぎは禁物です。過剰な水分は根腐れを引き起こすだけでなく、密閉されたトンネル内に湿気がこもると病原菌が繁殖しやすい環境をつくってしまいます。

保温を優先するあまり、換気を怠ってしまうケースは意外と多いものです。新鮮な空気を送り込むことで、呼吸で生じた二酸化炭素や余分な湿気を外に逃がし、健全な根の発達を助けることにつながります。天気の良い日の日中は積極的にトンネルの裾を開けて風を通しましょう。

温床・冷床・水耕の育苗方法の違い

育苗の方法はひとつではなく、栽培規模や設備、目的に応じていくつかの手段から選ぶことができます。それぞれに得意な場面と注意点があるため、自分の環境に合った方法を知ることが大切です。

温床栽培(発酵熱・電熱利用)

安定して大量の苗を早い時期から確保したい場合に最も適した方法です。踏み込み温床では、落ち葉と米ぬかをおよそ5対1の割合で混ぜ合わせ、微生物の発酵が生み出す熱を利用します。資材を30cm以上の厚さに敷くことで、持続的な温度を保てるのが特徴です。一方、電熱温床はサーモスタット付きの電熱線を土中に埋め込み、地温を自動で制御します。温度のムラが少なく安定性に優れるため、管理の負担が軽い反面、初期設備のコストがかかる点が課題となります。

冷床栽培(太陽熱利用)

外部の熱源を使わず、太陽の熱と断熱資材だけで保温する方法です。平らな畝に種芋を伏せ込み、不織布やポリフィルム、トンネルを二重に被覆して保温します。コストを抑えられるのが大きな魅力ですが、外気温に左右されやすく、一般的な暖地でも開始できるのは3月下旬以降に限られます。晩霜のリスクがなくなるまでは慎重な被覆管理が求められるでしょう。

水耕栽培(室内・省スペース型)

家庭菜園で少量の苗を確保したい場合や、後述する冬越し用の母株を維持する目的に向いた手法です。容器に種芋を入れ、下部の3分の1から4分の1が浸かる程度の水位を保って管理します。水は毎日、もしくは2〜3日に一度交換し、藻の発生を防ぐために容器を遮光すると効果的です。水だけでは微量要素が不足しやすいため、液体肥料を規定よりさらに薄めて添加すると、苗の黄化を防ぎやすくなります。

育苗方法 メリット デメリット・注意点
温床栽培(発酵熱・電熱) 早期から安定した高温を維持でき、大量育苗が可能 資材や設備のコストがかかる
冷床栽培(太陽熱) 低コストで設備が簡素 外気温に依存し、開始時期が遅くなりがち
水耕栽培(室内) 省スペースで家庭向き、冬越しにも対応 大量育苗には不向き、水の管理が頻繁に必要

このほか、段ボールや発泡スチロールの箱に土を入れて育苗する方法もあります。日中は日当たりのよい場所に置き、夜間は室内に取り込むことで、簡易的に温度を確保できます。コストをかけずに始めたい方は試してみるとよいでしょう。

採苗は地際5cm以上でカットする

つるが十分に伸びたら、いよいよ苗を切り取る「採苗」の工程に入ります。ここで最も重要なルールは、苗を切る位置を必ず地面から5cm以上(3〜5節以上)高い場所にすることです。

この原則には明確な科学的根拠があります。さつまいもの基腐病菌をはじめとする土壌伝染性の病原菌は、地面に近い茎の部分に付着したり潜伏したりしている可能性が非常に高いとされています。地際ギリギリで切ってしまうと、目に見えない病原菌を苗に付けたまま畑へ持ち込むことになりかねません。つまり、地際5cmのラインは病害を防ぐための防疫ラインとも言える重要な基準です。鹿児島県などの産地では、この採苗位置の徹底が防除対策の柱の一つとして指導されています。

もう一つの理由は、母株からの再採苗を可能にするためです。地際に数節の芽を残しておけば、そこから再び側枝が伸びてきて、2回目、3回目の採苗が行えます。1株の母株から多くの苗を連続的に取るためにも、切る位置を守ることが欠かせません。

切り取る際に使うハサミの消毒も忘れてはなりません。バーナーの火でハサミの刃を炙って熱殺菌するか、消毒液に浸す方法が推奨されています。一つの株を切ったあと、次の株に移る前に消毒を行うことで、万が一感染している株があった場合にもハサミを介した病気の広がりを防ぐことが可能です。

採苗した苗については、殺菌剤への浸漬消毒を行うことが各産地の防除暦で推奨されています。ただし、使用する薬剤の種類や濃度、浸漬時間は地域の防除指針や最新の農薬登録内容によって異なります。お住まいの地域の農業改良普及センターや病害虫防除所が公開している情報を確認し、適切な条件で実施するようにしましょう。

消毒後はすぐに植え付けるのではなく、日陰で3〜4日ほど置いてやや萎れさせる「予措(よそ)」を行うと、不定根の発生が促され、畑に植えたあとの活着がスムーズになるとされています。

肥料と追肥で苗の質を高めるポイント

つる取り用の栽培では、イモを太らせる一般栽培よりも窒素(N)の必要量がやや多くなる傾向があります。葉と茎をしっかり伸ばして充実した苗を得ることが目的のため、栄養成長を促す窒素が重要な役割を果たすためです。

元肥の目安は、1平方メートルあたり窒素20g、リン酸10g、カリ20g程度とされています。伏せ込みの1ヶ月ほど前に土へ混ぜ込んでおくことで、肥料が土に馴染み、ガス害の発生を防ぎやすくなります。

1回目の採苗を終えた後に行う追肥も、連続的につるを取るうえで欠かせないステップです。窒素成分で1平方メートルあたり4〜5g(硫安に換算すると20〜25g程度)を施すことで、残った母株から再び力強い芽が伸び始めます。追肥の際は肥料が葉に付着しないよう注意し、散布後にはすぐに水をかけて葉面を洗い流すことが大切です。肥料が葉に残ったままだと肥料焼けを起こす恐れがあります。

窒素を過剰に与えると「つるボケ」と呼ばれる現象を招きかねません。茎ばかりが太く長く伸び、節間も間延びした軟弱な苗になってしまいます。苗床の段階で窒素を蓄え過ぎた苗は、畑に植えたあとも葉ばかり茂ってイモが育たないことがあるため、施肥量は適正範囲を守るようにしましょう。

苗床の土壌はpH5.5〜6.0の弱酸性が好ましいとされています。アルカリ性に傾くと根の活性が下がり、生育が停滞しやすくなります。古い土をそのまま使い回すのは、通気性の悪化や病原菌の蓄積を招く原因になるため避けた方が無難です。EC(電気伝導度)も1.0mS/cm以下を目安に管理し、肥料の過剰投入を防ぎましょう。

さつまいものつる取り用の育て方で失敗しない対策

さつまいものつる取り用の育て方で失敗しない対策

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  • 基腐病を持ち込まない防除と品種選び
  • 芽が出ないときの原因と対処法
  • 苗が黄色くなる栄養不足の改善策
  • つるの冬越しで翌年も苗を確保する方法
  • 採苗後の苗の消毒と活着を促すコツ

基腐病を持ち込まない防除と品種選び

さつまいも栽培において、近年最も警戒すべき病害が「基腐病(もとぐされびょう)」です。2018年に国内で初確認されて以降、多くの産地で被害が報告されており、育苗の段階で対策を徹底しなければ畑全体に広がる危険性があります。

基腐病はカビの仲間である糸状菌が原因で、感染すると株元の茎が黒く変色し、やがて枯死に至ります。さらに地中のイモもなり首側から腐敗が進行し、見た目では分からないまま貯蔵中に他のイモへ感染が広がるケースもあるとされています。育苗床は高温多湿になりやすいため、この菌にとっては増殖に適した環境です。

育苗期の防除で重要なのは、「持ち込まない」と「増やさない」の2つの考え方です。具体的には、苗床に使う土を伏せ込み前に殺菌効果のある土壌消毒剤で処理しておくこと、そして前述の通り、種芋の消毒処理を徹底することが基本となります。

品種選びもリスクを下げる有効な手段です。農研機構や各県の試験研究機関による評価では、品種ごとに基腐病への抵抗性に明確な差があることが報告されています。以下の表は、公的な研究機関の報告に基づいて確認できた品種の抵抗性情報です。

基腐病への抵抗性 代表的な品種 補足情報
強い タマアカネ、べにひなた べにひなたは農研機構が育成した青果・食品加工用の新品種
やや強い こないしん、べにまさり 抵抗性評価の指標品種としても用いられている
やや弱い 高系14号、コガネセンガン 青果用・焼酎原料用の主力品種
弱い〜やや弱い べにはるか 食味は高評価だが基腐病には弱いとされている

上記の表は農研機構や各県の試験研究機関が公表した評価結果に基づいています。品種の抵抗性情報は研究の進展に伴い更新される場合があるため、栽培する際は農研機構や各都道府県の農業試験場が発信する最新情報を確認することをおすすめします。

薬剤による予防散布も被害を抑えるうえで効果的とされていますが、使用する農薬は作物名、使用時期、使用方法、希釈倍率など全てが最新の登録内容に一致している必要があります。具体的な薬剤選びや散布スケジュールは、お住まいの地域の防除指針や農業改良普及センターの情報に従うようにしてください。複数の薬剤をローテーションで使うことで耐性菌の発生を防ぎやすくなるという考え方が基本です。

基腐病対策の基本は「持ち込まない」「増やさない」「残さない」の3つです。育苗が終わったあとの残渣もそのまま放置せず、畑の外へ持ち出して適切に処分しましょう。残渣の中で菌が越冬すると、翌年の伝染源になる恐れがあります。

芽が出ないときの原因と対処法

種芋を伏せ込んだのに1ヶ月経っても芽が出てこないというトラブルは、育苗初心者に特に多い悩みです。原因は主に3つに絞られます。

最も多い原因は温度不足です。さつまいもは熱帯性の植物であり、萌芽には地温30℃前後という高い温度が必要とされています。春先はまだ外気温が低いため、トンネルや温床を使って積極的に加温しなければ、この温度帯に到達しないことがあります。特に夜間に10℃を下回るような環境が続くと、芽が出る以前に芋の組織が低温障害を起こし、腐敗が始まるリスクもあります。

2つ目の原因は過湿による腐敗です。保温を優先してトンネルや容器を密閉しすぎると、内部の通気が悪化し、芋が酸欠状態に陥ることがあります。掘り起こしたときにアルコールのような発酵臭がする場合は、嫌気性発酵(酸素が不足した状態での分解)が進んでいるサインです。こうした場合は換気を改善し、灌水の量を減らすことで対応します。

3つ目は種芋そのものの品質問題です。前述の通り、食用として販売されているさつまいもは病害の有無や貯蔵履歴が不明なことが多く、種芋に適さない場合があります。芽を確実に出すためにも、来歴が明確な育苗用種芋を準備することが大切です。

芽が出ない場合のチェックポイントとして、まず地温が日中も夜間も十分に保たれているか温度計で確認しましょう。次にトンネル内の通気が確保されているかを見直し、最後に種芋の入手先と保管状態を振り返ってみてください。原因を一つずつ切り分けていくことが解決の近道です。

苗が黄色くなる栄養不足の改善策

苗が黄色くなる栄養不足の改善策

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芽は出たものの、葉が小さく黄色っぽい、あるいは茎が細くて立ち上がらないといった症状が見られる場合は、栄養不足や環境の不一致が考えられます。

最も一般的な原因は窒素の欠乏です。つるを何度も採苗していると、土壌中の養分が徐々に消耗されていきます。特に2回目、3回目の採苗を行った後に黄化が顕著になるケースでは、追肥のタイミングが遅れている可能性が高いでしょう。窒素成分を1平方メートルあたり4〜5g程度、速やかに追肥することで症状が改善に向かうことが多いです。

pH(酸性度)の偏りも見落としがちな要因です。さつまいもは弱酸性の土壌を好む植物のため、石灰を入れすぎてアルカリ寄りになっている土壌では根の活性が下がり、養分をうまく吸い上げられなくなります。苗床に使う土は新しいものを用意し、pHが5.5〜6.0の範囲に収まっているか事前に確認しておくと安心です。

日照不足もまた生育不良の一因となります。保温のために被せているトンネルのフィルムが汚れていると、光の透過率が落ちてしまいます。光合成が不十分な状態では、茎が細く間延びする「徒長」が起きやすくなるため、資材は定期的に拭き取るか新しいものに交換し、十分な光が苗に届くようにしましょう。

つるの冬越しで翌年も苗を確保する方法

毎年種芋から苗を育て直すのではなく、秋に収穫したつるをそのまま冬越しさせて翌年の母株にする方法もあります。この技術を使うと、春に種芋から育てるよりも早い段階で大量の苗を採取できるようになるため、とても効率的です。

冬越し用のつるは、秋の気温が下がり始める10月頃に準備します。充実したつるの先端から7〜8節、長さにして15〜20cm程度を切り出してください。切り取ったつるは一度水に浸けてアブラムシやハダニなどの害虫を落としてから、鉢やプランターに植え付けます。

冬の間の管理で最も大切なのは温度の維持です。さつまいもは霜や低温に非常に弱く、凍結すれば短時間で枯死してしまいます。11月以降は室内や温室など、凍結の心配がない暖かい場所に移動させ、冷え込みが厳しい夜間も温度が極端に下がらないよう注意しましょう。

水やりは控えめにするのが基本です。冬場はつるの成長が緩やかになるため、吸い上げる水の量もごくわずかになります。土の表面が乾いてから数日後に少量を与える程度で十分です。過湿の状態が続くと、低温環境下では根腐れに直結しやすいので気をつけてください。

日照については、冬の弱い光でもできるだけ光合成を行わせるため、南向きの窓辺など日当たりの良い場所に置くのが理想的です。そして3月頃、気温の上昇に合わせて肥料と水やりを増やし、新しい芽の伸長を促していきましょう。伸びてきたつるを苗として使うことで、種芋からの育苗よりもひと足早くスタートを切ることが可能になります。

冬越しは成功すれば大きなメリットがありますが、室温の管理や水やりの加減が難しく、初めての場合は途中で枯らしてしまうことも珍しくありません。保険として種芋も別途確保しておくと、万が一冬越しに失敗した場合にも慌てずに済みます。

採苗後の苗の消毒と活着を促すコツ

採苗した苗を畑に植え付けるまでの間に行う処理は、その後の活着率や生育に大きな影響を与えます。ここでは、苗を健全な状態で畑へ送り出すためのポイントを整理します。

まず行いたいのが、殺菌剤を使った苗の浸漬消毒です。各産地の防除暦では、採苗後の苗を殺菌剤に浸けて消毒する工程が推奨されています。ただし、具体的な薬剤名、希釈倍率、浸漬時間は地域の防除指針や農薬の最新登録内容によって異なるため、一律にこの条件が正しいとは言い切れません。お住まいの地域の農業改良普及センターや病害虫防除所が発行する防除暦を確認し、指示に沿った条件で行うのが最も確実です。

消毒処理が終わった苗は、すぐに畑へ植えるのではなく、日陰で3〜4日ほど置いて少し萎れさせる「予措」を行うのが効果的です。萎れることで苗の体内では発根に向けたエネルギーが蓄積され、植え付け後に不定根がスムーズに出てくるようになるとされています。予措を行った苗は、行わなかった苗に比べて活着が安定しやすい傾向があります。

植え付けの際は、苗の切り口をバケツなどに入れた水に2〜3時間ほど浸けて吸水させると、植え付け直後の水分ストレスを和らげられます。畑の土が乾燥している場合は、植え付け後にたっぷり灌水して根の周りの土を密着させましょう。

工程 推奨されるやり方 期待できる効果
苗の消毒 地域の防除暦に従い殺菌剤に浸漬 切断面や表面の病原菌を抑制
予措(萎凋管理) 日陰で3〜4日置いてやや萎れさせる 発根エネルギーの蓄積と活着率の向上
植え付け前の吸水 切り口を水に2〜3時間浸す 植え付け直後の水分ストレス緩和

なお、採苗したつる苗をすぐに使わず数日間保管する必要がある場合は、湿らせた新聞紙や布で苗を包み、直射日光を避けた涼しい場所に置いておくと鮮度を保ちやすくなります。葉が黄変している部分は早めに取り除き、苗のコンディションを落とさないよう心がけてください。

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総括:さつまいものつる取り用の育て方|種芋選びから採苗のコツまで解説

  • 種芋は200g〜300gで傷や病変のない健全な個体を選ぶ
  • 芋の上下(なり首と根端)を正しく見分けてから伏せ込む
  • 食用芋は病害や貯蔵履歴が不明なため育苗用種芋の使用が望ましい
  • 温湯消毒の条件は対象(種芋・つる苗)と対策する病害によって異なる
  • 黒斑病対策の温湯消毒は47〜48℃で40分間が目安とされている
  • 基腐病の蒸熱処理はより高温・長時間の条件が研究されている
  • 萌芽には地温30℃前後を安定的に維持することが不可欠
  • 芽が出た後は昼温25〜30℃、夜温15〜18℃に切り替える
  • 温床・冷床・水耕など育苗方法は環境と目的に合わせて選ぶ
  • 採苗は地際5cm以上の高さで切るのが防疫上の鉄則
  • ハサミはバーナーや消毒液で殺菌してから使う
  • 苗の消毒は地域の防除暦に従い適切な薬剤と条件で行う
  • 日陰で3〜4日萎れさせる予措を行うと活着率が上がる
  • べにはるかなど人気品種は基腐病に弱い傾向があるため防除を徹底する
  • 冬越しのつるは霜に当てず凍結しない暖かい室内で管理する
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