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美しい秋の風景を彩る菊は、日本の伝統的な花として古くから愛されてきました。菊の育て方を地植えで実践したいと考えている方も多いのではないでしょうか。
地植えで菊を育てる際、育て方の基本を初心者が理解しておくことは非常に重要です。適切な肥料の与え方や増やし方、冬の管理方法など、押さえておきたいポイントがいくつもあります。
また、剪定はいつするのが一般的ですか、地植えの菊の植え替え時期はいつですか、といった疑問を持つ方も少なくありません。挿し木による増やし方も知っておくと、より多くの株を楽しめるでしょう。
この記事では、菊を地植えで美しく咲かせるための実践的な方法を、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。基本的な栽培環境の整え方から、季節ごとの管理のコツまで、詳しくご紹介しましょう。
- 地植えに適した場所選びと土づくりの具体的な方法
- 植え付け適期と生育期における管理の流れ
- 摘芯や剪定など株を充実させるテクニック
- 挿し木や株分けによる効果的な増やし方
菊の育て方を地植えで成功させる基本

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- 初心者でも失敗しない菊の育て方
- 地植えに適した場所選びのポイント
- 菊に最適な土づくりと肥料の与え方
- 植え付けと植え替え時期はいつがベスト?
- 水やりの頻度と注意点
- 摘芯で花数を増やすテクニック
初心者でも失敗しない菊の育て方
菊は丈夫で育てやすい植物であり、初心者の方でも十分に美しい花を咲かせることができます。特に小菊やガーデンマムと呼ばれる洋菊は、管理の手間が少なく、地植えでの栽培に適しているでしょう。
成功のカギとなるのは、まず菊の基本的な性質を理解することです。菊の多くは短日植物であり、夜の時間が長くなることで花芽をつける性質を持っています。開花の条件として日の長さが重要となるため、栽培場所を選ぶ際には夜間照明の影響も考慮する必要があるでしょう。
初心者の方は、まず小菊やガーデンマムから始めることをおすすめします。大菊は専門的な技術が必要となるため、栽培に慣れてから挑戦すると良いでしょう。
また、菊は高温多湿を嫌う性質があるため、風通しの良い場所を選ぶことが重要です。梅雨時期や夏の蒸れた環境は、病気の発生リスクを高めてしまいます。
水はけと保水性のバランスが取れた土壌を用意し、適切な日当たりと風通しを確保すれば、基本的な環境は整います。これらの条件を満たすことで、初めての方でも立派な菊を育てることが可能となるでしょう。
地植えに適した場所選びのポイント
菊は秋の花の代表のように思いますが、地植えに出会うことは
少ないような🫥
違った色と形の2種類の菊達、たまたま隣り合わせになって
優しく優雅なアレンジメントができ上がりました🤭💞#花写真 #花好きと繋がりたい #TLを花でいっぱいにしよう#花のある暮らし pic.twitter.com/vMafyIxo2u— 花 with あお (@DreamingQuincy) November 14, 2025
地植えで菊を育てる際、場所選びは成功の第一歩となります。日当たりの良さは最も重要な条件であり、株を健全に育てるためには十分な日照が欠かせません。光合成を行うために、1日あたり6時間から8時間程度の直射日光が当たる場所を選びましょう。
ただし、夜間の照明には注意が必要です。街灯や室内の明かりが当たる場所では、花芽の分化が遅れたり、開花時期がずれてしまうことがあります。菊は夜の長さによって花芽を作る短日植物であるため、夜は暗くなる環境を確保することが適切な開花を促すために欠かせません。
風通しも重要なポイントとなります。塀際や建物の陰など、空気が滞留しやすい場所は避けてください。風が適度に通る環境では、朝露が早く乾き、うどんこ病や白さび病などの発生を抑えられます。
強風が吹く場所では、支柱を立てて株を支える必要があるものの、適度な風は病害虫の予防に役立つでしょう。低いフェンスや生垣で防風しつつ、風を完全に遮断しない工夫も効果的です。
西日が強く当たる場所は避けることをおすすめします。午後の強い日差しは株を傷める原因となり、特に夏場は葉焼けのリスクが高まります。
水はけの確認も忘れてはいけません。雨が降った後、水たまりが長時間残る場所は根腐れのリスクがあります。水はけが悪い場合は、盛り土をして高畝にするなどの工夫が必要となるでしょう。
菊に最適な土づくりと肥料の与え方

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菊が健やかに育つためには、水はけと保水性のバランスが取れた土壌が必要となります。理想的なpHは6.0から6.8程度の弱酸性から中性です。強酸性の土壌では生育が鈍るため、必要に応じて苦土石灰で調整しましょう。
植え付けの2週間前には土づくりを始めることをおすすめします。深さ20センチ程度まで土を耕し、完熟たい肥と腐葉土をすき込みます。たい肥と腐葉土の割合は、土全体の2割から3割程度が目安となるでしょう。
粘土質の土壌では、川砂やパーライトを混ぜることで排水性を高められます。逆に砂質の土壌では、たい肥を多めに入れて保水性を補うことが大切です。
元肥の施し方
植え付け時には、緩効性の化成肥料を元肥として土に混ぜ込みます。ただし、窒素が多すぎると徒長や病気の原因となるため、バランスの取れた配合のものを選びましょう。使用する肥料のパッケージに記載された規定量に従って施すことが基本です。
追肥のタイミングと種類
春先、芽が伸び始めたら追肥を開始します。3月から10月の生育期間中は、月に1回程度、緩効性の化成肥料を株元に施すことが基本となるでしょう。
地植えで有機質をしっかり入れている場合、過度な追肥は不要です。株の様子を見ながら、葉色が薄くなったり生育が鈍ったりした場合に補うという考え方が適切でしょう。
肥料は多ければ多いほど良いというわけではありません。窒素過多になると徒長して茎が軟弱になり、病気にもかかりやすくなるため注意が必要です。
液体肥料を併用する場合は、規定量の半分の濃さに薄めたものを週に1回程度与えると、生育がより旺盛になります。ただし、真夏の高温期は根への負担が大きいため、液体肥料は控えめにしてください。
花芽が見え始める9月上旬以降は、窒素を控えめにし、リン酸とカリを中心とした肥料に切り替えると、花色が鮮やかになり、花もちも良くなるでしょう。
肥料を与える際は、株元から少し離れた位置に施すことがコツです。根に直接触れないようにすることで、肥料焼けを防げるでしょう。
植え付けと植え替え時期はいつがベスト?
冬に挿し穂して越冬させた夏咲き品種の菊が開花🌺植え替えしていない親株も咲いたけど花が小さかった根が古いからかな?挿し穂をしないで春に株分けした方が楽かもしれない🙃 #菊 #園芸 pic.twitter.com/AhPyIUaRiU
— KEITEN(メンテナンス中)@素人園芸-ホームトレーニー (@KEITENSAN) May 29, 2025
菊の植え付けに最適な時期は、地域によって異なりますが、基本的には4月から6月が適期となります。根がよく伸びる季節に植え付けることで、夏の高温や梅雨の長雨を健全に乗り切れる株に育つでしょう。
寒冷地では、遅霜の心配がなくなる5月中旬以降が安全です。地温がしっかり上がってから植え付けることで、根の活着が早まります。逆に温暖地では、3月中旬から植え付けが可能ですが、早植えは遅霜に注意が必要となるでしょう。
| 地域 | 植え付け適期 | 注意点 |
|---|---|---|
| 北海道・高冷地 | 5月中旬~6月上旬 | 遅霜を避け、やや高畝で排水を重視 |
| 東北・北陸 | 4月下旬~5月下旬 | 梅雨前に根張りを完了させる |
| 関東・東海・近畿 | 3月下旬~5月上旬 | 早植えは遅霜と強風対策が必要 |
| 中国・四国・九州 | 3月中旬~4月下旬 | 高温乾燥に備えマルチと潅水を徹底 |
植え付けの具体的な手順
植え穴は根鉢の1.5倍の幅と深さに掘り、底土に元肥を混ぜた後、薄い土で肥料を覆います。根鉢を置く際は、上面が周囲の土面と同じか、わずかに高くなるように調整しましょう。
複数の株を植える場合、株間は品種によって調整が必要です。中輪のスプレー菊では30センチから40センチ、大輪や背の高い品種では45センチから60センチ程度の間隔を取ることで、風通しが確保されます。
植え付け後は、株元を軽く手で押さえて土と根を密着させます。その後、たっぷりと水を与え、根鉢全体に水が行き渡るようにしてください。
植え替えの必要性と時期
地植えの菊も、定期的な植え替えを行うと、株の若返りと病害虫の予防につながります。植え替えの適期は、植え付けと同じ4月から6月です。
基本的には2年から3年に1回を目安とし、株が弱ってきた場合や病気が出やすくなった場合は、1年から2年のサイクルで行うと良いでしょう。前年と同じ場所に植えると、連作障害のリスクが高まります。できれば場所を変えるか、土を入れ替えることで、病原菌の蓄積を防げるでしょう。
定期的に植え替えることで株が充実し、花つきも良くなります。株の様子を観察しながら、最適なタイミングで実施してください。
ポット苗を購入する際は、葉の色が濃く、茎がしっかりとしたものを選びましょう。根詰まりしていない、根が白く健康な苗が良質です。
水やりの頻度と注意点

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地植えの菊は、鉢植えに比べて土の容積が大きいため、乾きにくい特徴があります。植え付け直後から約2週間は、根が十分に張るまで土が乾かないよう注意して水を与えましょう。
根がしっかり張った後は、平均的な降雨量がある地域では基本的に降雨だけで育てることができます。ただし、真夏の雨が少ない時期や、葉が萎れている様子が見られる場合は、追加の水やりが必要となるでしょう。
砂質土壌や傾斜地など、水が溜まりにくい環境では、夏場の高温乾燥期に様子を見ながら補う必要があります。土の表面が乾いて数日経過したら、朝の涼しい時間帯に水を与えてください。
水やりは朝の涼しい時間帯に行うことが基本です。株元にそっと与え、葉や花に水がかからないようにします。葉が濡れたままになると、病気の発生リスクが高まるため注意が必要となります。
真夏の昼間に水やりをすると、土の温度が上がり根が傷む原因となります。地植えでは鉢のように移動できないため、水やりは必ず朝か夕方の涼しい時間帯を選んでください。
梅雨時期は過湿に注意しましょう。水はけの悪い場所では、根腐れのリスクが高まります。マルチングを施すことで、泥はねを防ぎつつ、土の乾湿を安定させられるでしょう。
秋の開花期も水の管理は重要です。土が乾きすぎると花もちが悪くなるため、土の表面が乾いたら適度に水を与えます。ただし、花に水がかからないよう注意してください。
摘芯で花数を増やすテクニック
菊の花、摘芯して脇芽たくさん出す!🥳肥料入れてあげた🪷#家庭菜園 #菊 pic.twitter.com/qCMtqKeL9B
— gona 713 (@goona7777) May 31, 2025
摘芯は菊の栽培において非常に重要な作業であり、株の形を整え、花数を増やすために欠かせません。摘芯とは、茎の先端にある生長点を摘み取る作業のことを指します。
植え付けから2週間ほど経ち、根がしっかり張った頃に第一回目の摘芯を行いましょう。苗が15センチから20センチ程度に伸びた段階で、新芽の先端を指やハサミで摘み取ることで、脇芽が複数伸びてきます。
枝が伸びて葉が5枚から6枚ついた頃に、再度摘芯を行います。初夏までに2回から3回と摘芯を繰り返すことで、分枝数がさらに増え、花数も多くなるでしょう。この作業により、株全体がこんもりとまとまった姿になります。
摘芯の終了時期に注意
秋咲きの菊の場合、摘芯の終了時期を守ることが非常に重要です。関東周辺では、7月上旬から中旬までに摘芯を終えることが目安となります。これ以降に摘芯を続けると、花芽の分化が遅れ、開花時期がずれてしまうでしょう。
寒冷地では終了時期を早め、温暖地ではやや遅らせるなど、地域の気候に応じた調整が必要となります。花芽分化を妨げないよう、適切なタイミングで摘芯を終了してください。
大菊を育てる場合は、摘芯の方法が異なります。苗の段階で頂点の芽を摘み、脇芽を3つだけ残して伸ばし、以降は脇芽を摘んでいく方法が一般的です。
摘芯を行う際は、清潔なハサミを使用することをおすすめします。切り口から病原菌が入るのを防ぐため、刃物の消毒も忘れずに行いましょう。
地植えの菊の育て方で知っておきたいコツ

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- 剪定はいつするのが一般的ですか?
- 伸びすぎる菊の対処法
- 挿し木で菊を増やす方法
- 冬越しと防寒対策
- 小菊の育て方の特徴
- 食用菊の育て方のポイント
剪定はいつするのが一般的ですか?
菊の剪定時期は、花が咲き終わった後に行うのが基本となります。秋咲きの一般的な菊の場合、11月下旬から12月にかけて花が終わるため、その後に剪定作業を実施しましょう。
地上部が枯れ込んだら、株元から5センチから10センチあたりのところをハサミで切り戻します。地面ギリギリで切ってしまうと、春から伸びる芽の数が減ってしまうため注意が必要です。
ただし、地域や品種によって開花時期が異なる場合があります。冬咲きの品種であれば、開花が終わる1月から2月頃に剪定を行うことになるでしょう。
菊の管理では、生育途中の摘芯、伸びすぎた時の切り戻し、花後の剪定と、3つの異なる作業があります。摘芯は枝数を増やすため、切り戻しは草丈を抑えるため、剪定は株を更新するために行います。それぞれ目的が異なることを理解しておくと、作業がスムーズになるでしょう。
切り戻しの目的と効果
剪定による切り戻しは、株を若返らせ、翌年の花つきを良くする効果があります。古い茎を取り除くことで、春に出る新芽が充実し、より多くの花を咲かせられるでしょう。
切り取った枝は、病害虫の越冬場所となる可能性があるため、適切に処分してください。放置せず、ゴミとして出すか、焼却処分することをおすすめします。
花が咲き終わった直後ではなく、しばらく茎を残しておくことで、根に栄養を蓄えさせることができます。地上部が完全に枯れるのを待ってから切り戻すと、翌年の生育が良くなるでしょう。
剪定後は、株元に腐葉土や堆肥を軽く施しておくと、冬の間に土が改良され、春の芽出しが良くなります。ただし、新鮮な有機物を大量に入れると発酵熱で根を傷めるため、完熟したものを使用してください。
伸びすぎる菊の対処法
伸びすぎの菊とニャー pic.twitter.com/5knm2WeV1l
— ににぃ (@rock_niniy) November 24, 2024
菊の茎が徒長して伸びすぎてしまう原因は、主に3つあります。日照不足、水の与えすぎ、そして窒素肥料の過剰です。まずは栽培環境を見直し、原因を特定することが重要となるでしょう。
日当たりが不十分な場所で育てると、茎が光を求めて徒長しやすくなります。前述の通り、菊は1日6時間から8時間程度の直射日光を必要とするため、より日当たりの良い場所に移動できないか検討してください。
水を与えすぎると、根が過湿状態となり、徒長の原因となります。地植えの場合は、基本的に降雨だけで十分なため、よほど乾燥が続く場合を除き、追加の水やりは控えめにしましょう。
肥料バランスの見直し
窒素肥料が多すぎると、葉ばかりが茂り、茎も細く長く伸びてしまいます。肥料の成分バランスを確認し、窒素・リン酸・カリがバランス良く配合されたものを使用してください。
特に花芽分化の時期以降は、窒素を控えめにし、リン酸とカリを中心とした肥料に切り替えることで、茎の充実と花つきの向上が期待できるでしょう。
切り戻しによる対処
摘芯のタイミングを逃して茎が伸びすぎてしまった場合は、思い切って切り戻しを行います。開花の2カ月前までであれば、枝の先端を切り戻すことで、草丈を抑えつつ、新しい枝を伸ばすことができるでしょう。
開花直前の切り戻しは、花芽を失う原因となります。切り戻しを行う場合は、必ず開花の2カ月以上前に実施してください。
背の高くなる品種では、支柱で支えることも有効な対策です。リング支柱や単支柱を使用し、茎が倒れないように早めに固定しましょう。風で揺すられて根が傷むのを防ぐことができます。
挿し木で菊を増やす方法

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挿し木は菊を増やす最も一般的な方法であり、親株と同じ性質を持つ株を確実に増やせる利点があります。挿し木の適期は5月から6月で、新芽が旺盛に伸びる時期が成功率が高いでしょう。
まず、親株から新芽の先端を5センチから10センチほどの長さで切り取ります。葉が7枚から8枚ついている部分を選び、茎がしっかりとしたものを選定してください。
切り取った枝は、下の葉3枚を摘み取ります。葉が多すぎると水分の蒸散が激しく、発根前に枯れてしまうリスクがあるためです。茎の切り口は、鋭利なカッターナイフで斜めに切り直しましょう。
挿し木の手順
切り直したさし穂は、2時間程度水につけて十分に水を吸わせます。水揚げを行うことで、発根しやすくなるでしょう。
直径9センチほどのポリポットに、市販の挿し木用土や新しいバーミキュライト、鹿沼土を入れます。土をよく湿らせた後、さし穂の葉のない部分を土に挿し込みます。深さは2センチから3センチ程度が目安です。
挿し木後は、風、雨、直射日光が当たらない明るい日陰で管理します。土の表面が乾ききる前に水を与え、常に湿った状態を保ちましょう。
発根までの期間は、気温や湿度によって異なりますが、通常2週間前後です。ポリポットの底穴から根が見えてきたら、発根が成功した証拠となります。
挿し木後の管理
根が十分に育ったら、一回り大きなポットに植え替えるか、直接地面に定植します。定植の時期は、根がしっかり回ってからにしましょう。
挿し木をした株は、親株よりも若い状態のため、病気にかかりにくく、生育も旺盛です。定期的に挿し木で株を更新することで、常に元気な菊を楽しめるでしょう。
さし穂を抜いて根の状態を確認する行為は、せっかく出始めた根を傷める原因となります。発根を確認する際は、ポットの底穴から根が見えるかどうかで判断してください。
冬越しと防寒対策
互市で買った菊(ガーデンマム ミルクシェイク)をプラ鉢に植え替え。
これで冬越ししてみていけそうなら春に地植えしてみる。 pic.twitter.com/7Jq2Uw9Jqn— くり (@Kastanie7610) November 14, 2025
菊は耐寒性が比較的高い植物ですが、地域によっては冬の防寒対策が必要となります。特に寒冷地や霜が強く降りる地域では、適切な保護を施すことで、翌春の芽出しが良くなるでしょう。
前述の通り、花が終わった後は株元から5センチから10センチの高さで切り戻しを行います。この作業により、株が休眠状態に入り、冬を越す準備が整います。
霜よけのマルチングは、冬の防寒対策として効果的です。株元に厚さ5センチから10センチ程度の腐葉土や落ち葉、バークチップなどを敷き詰めることで、地温の低下を防げるでしょう。
地域別の防寒対策
温暖地では、特別な防寒対策をしなくても問題なく冬越しできます。ただし、霜が強く降りる日が続く場合は、軽くマルチングを施しておくと安心です。
寒冷地では、マルチングに加えて、株の周囲を不織布や寒冷紗で覆うことをおすすめします。特に北海道や東北の内陸部では、雪に埋もれることで逆に保温される効果も期待できるでしょう。
積雪の多い地域では、雪が自然の防寒材となります。ただし、春先の雪解け時に水はけが悪くなると根腐れのリスクがあるため、排水対策は重要です。
春の芽出しに向けた準備
春が近づき、気温が上がり始める3月頃には、マルチングを取り除きます。あまり早く取り除くと遅霜で新芽が傷む可能性があるため、気温の推移を見ながら判断しましょう。
新芽が出始めたら、株元に軽く肥料を施します。緩効性の化成肥料を株の周囲にまき、土と混ぜ込むことで、新芽の生育が促進されるでしょう。
小菊の育て方の特徴

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小菊は花径が9センチ未満の菊を指し、古くから広く栽培されてきました。大菊に比べて管理が簡単で、初心者にも育てやすい特徴があります。
小菊は自然に分枝しやすく、摘芯の回数を減らしても十分に多くの花を咲かせます。大菊のように厳密な芽かきや蕾の調整をしなくても、株全体に花が咲くため、手軽に楽しめるでしょう。
地植えでの栽培では、株間を20センチから30センチ程度に取れば十分です。株を詰めすぎると風通しが悪くなり、蒸れによって病気が発生しやすくなるため、適度な間隔を保つことが大切です。
小菊の仕立て方
小菊には、懸崖仕立てや文人仕立てなど、独特の仕立て方があります。懸崖仕立ては、滝のように花を垂らす形に仕上げる方法で、観賞価値が高いでしょう。
通常の地植えであれば、自然な姿で育てるだけでも十分に美しい花を楽しめます。摘芯を1回から2回行い、株をこんもりとした形に整えるだけで、秋には株全体が花で覆われるでしょう。
小菊は切り花としても利用しやすく、お供えの花としても重宝されます。花もちが良いため、庭や畑の隅に植えておくと便利です。
品種選びのポイント
小菊には多くの品種があり、花色も黄色、白、ピンク、赤、紫など豊富です。複数の色を組み合わせて植えると、秋の庭が華やかになるでしょう。
野生菊も園芸では小菊の仲間に含まれます。ノジギクやリュウノウギクなどは、自然な風情があり、ナチュラルガーデンにも適しています。
食用菊の育て方のポイント

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食用菊は、観賞用の菊と基本的な育て方は同じですが、食べることを前提とするため、農薬の使用には十分な注意が必要となります。できる限り無農薬か、食用作物に使用が認められた薬剤のみを使用しましょう。
代表的な食用菊には、黄色の阿房宮や紫色のもってのほかなどがあります。これらの品種は花びらが厚く、食感が良いことで知られています。
食用菊の栽培では、花を食べるため、花の品質を保つことが重要です。肥料のバランスに気をつけ、窒素過多にならないよう注意してください。窒素が多すぎると、花の味が悪くなることがあります。
収穫のタイミング
食用菊は、花が八分咲きから満開の頃に収穫します。開花してから時間が経ちすぎると、花びらが硬くなり、食感が悪くなるため注意が必要です。
収穫は晴れた日の午前中に行うことをおすすめします。花びらに朝露が残っている状態では、保存性が悪くなるため、露が乾いてから摘み取りましょう。
観賞用として販売されている菊の苗や切り花は、食用に適さない薬剤が使用されている可能性があります。食用菊を育てる場合は、必ず食用品種の苗を入手してください。
食用菊の利用方法
収穫した食用菊は、酢の物やおひたし、天ぷらなど、さまざまな料理に使えます。花びらをさっと茹でて水にさらし、酢を少し加えると色鮮やかに仕上がるでしょう。
保存する場合は、花びらだけを摘み取り、軽く洗ってから水気を切り、ラップで包んで冷蔵庫に入れます。新鮮なうちに使い切ることをおすすめします。
食用菊を育てる際は、害虫対策も工夫が必要ですね。防虫ネットを使ったり、天敵を利用したりする方法も検討してみてください。安全でおいしい菊を収穫できると、料理の幅も広がりますよ。
総括:菊の育て方|地植えの基本から摘芯・剪定まで初心者向け完全解説
- 菊の地植えは日当たり6から8時間程度の直射日光と風通しの良い場所を選ぶ
- 短日植物のため夜間の照明が当たらない環境を確保し花芽分化を促す
- 弱酸性から中性の水はけの良い土壌を作る
- 植え付け適期は地域により異なるが基本は4月から6月
- 株間は中輪で30から40センチ、大輪で45から60センチ取る
- 地植え後の水やりは活着まで丁寧に、その後は降雨中心で様子を見ながら管理
- 摘芯は7月上旬から中旬までに終了し花芽分化を妨げない
- 肥料は春から初夏に株づくり、花芽以降はリン酸カリ中心に切り替える
- 過度な施肥は徒長や病気の原因となるため株の様子を見ながら調整する
- 植え替えは基本2から3年に1回、株が弱った場合は1から2年で行う
- 剪定は花後の11月下旬から12月に株元5から10センチで切り戻す
- 徒長対策は日照確保、水と窒素肥料の適正管理が鍵
- 挿し木は5月から6月に新芽の先端5から10センチを使い発根まで2週間前後
- 冬越しは株元のマルチングで地温低下を防ぐ
- 小菊は管理が簡単で初心者にも育てやすく、株間を適切に取ると病気予防になる