ひょうたんの育て方|ベランダ栽培の完全ガイド&失敗しないコツ

ひょうたんの育て方|ベランダ栽培の完全ガイド&失敗しないコツ

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ベランダでひょうたんを育ててみたいけれど、どうすればうまく栽培できるのか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。ひょうたんの育て方やベランダでの栽培方法について調べてみても、プランターのサイズはどのくらい必要なのか、種まき時期はいつがベストなのか、ひょうたんの種をまく深さはどれくらいが適切なのかなど、具体的な情報が見つからず困っている方もいらっしゃるでしょう。

また、せっかく育てても葉っぱばかりが茂って実がならないという失敗や後悔の声も少なくありません。摘芯のタイミングを間違えたり、水やりや肥料の管理が不適切だったりすると、期待していた収穫ができずに終わってしまうこともあります。

この記事では、ベランダでひょうたんを育てる際の具体的な方法や、失敗しないための重要なポイントを詳しく解説していきます。初心者でも安心して栽培を始められるよう、実践的な情報をお届けしますので、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

  • ベランダでひょうたんを栽培するための適切なプランターサイズと土の選び方
  • 種まきから発芽、定植までの具体的な手順と注意点
  • 葉ばかり茂って実がならない原因と対策方法
  • 摘芯や水やり、肥料管理など栽培成功のための重要なコツ
目次

ベランダでのひょうたんの育て方の基本

ベランダでのひょうたんの育て方の基本

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ベランダでひょうたんを育てる際には、限られたスペースと土の量という制約があります。しかし、適切な準備と管理を行えば、地植えに劣らない立派なひょうたんを収穫することが可能です。

  • ひょうたんのプランターのサイズは?
  • ひょうたんの種まき時期はいつ?
  • ひょうたんの種をまく深さは?
  • ベランダでグリーンカーテンとして育てる方法
  • 摘芯のタイミングと方法

ひょうたんのプランターのサイズは?

ベランダでひょうたんを栽培する場合、プランターのサイズ選びが成功の鍵を握ります。なぜなら、ひょうたんは非常に生育旺盛な植物で、根をしっかり張るために十分な土の量が必要だからです。

市販の培養土を使用する場合、最低でも35リットルから40リットルの土の容量が必要となります。ただし、これは小型品種での最低ラインであり、大型品種を育てたい場合や、真夏に乾燥しやすいベランダ環境では、50リットルから70リットル程度の容量を確保することが推奨されます。

15リットル程度のバケツでは土の量が明らかに不足し、収量が著しく落ちやすくなります。根の発達が制限されると、地上部の生育にも悪影響が出て、期待していた収穫が得られない可能性が高まるでしょう。

具体的なプランターサイズとしては、幅65センチメートル以上の深型プランターを選び、1つのプランターに1株のみを植えるようにしましょう。野菜用の大型プランターであれば、土の容量が35リットル以上確保できるものが適しています。

プランターの深さも重要な要素となります。ひょうたんの根は深く伸びる性質があるため、深さ35センチメートル以上の深型プランターを選択してください。浅いプランターでは根の発達が制限され、地上部の生育にも悪影響が出てしまいます。

ベランダ栽培では、品種選びも重要です。千成ひょうたんのような小型品種はベランダ向きで、35リットルから50リットルのプランターでも栽培しやすい特徴があります。大型品種を育てる場合は、さらに大きな容量と頑丈な支柱が必要になることを覚えておきましょう。

鉢底石と排水性の確保

プランターの底には、排水性を確保するための工夫が必要です。まず、排水穴に網を敷いて土が流れ出ないようにします。鉢底石については、近年の園芸知見では厚く敷きすぎると排水性がむしろ悪化する可能性が指摘されています。

鉢底石を使用する場合は、薄く0.5センチメートルから1センチメートル程度敷く程度で十分です。むしろ、用土側にパーライトや赤玉土を混ぜて通気性を改良する方が、根の健全な発達には効果的でしょう。

真夏のベランダは非常に高温になるため、プランターは直置きせず、木片やスノコなどを敷いて風通しを確保しましょう。地面との間に空間を作ることで、根が高温障害を受けるリスクを大幅に減らせます。

ベランダでの安全対策

大容量のプランターに土と水を入れると、かなりの重量になります。ベランダの耐荷重を確認し、管理規約で許容されている範囲内で栽培を行ってください。また、排水が隣家へ流れ込まないよう、受け皿の管理にも注意が必要です。受け皿から水があふれると階下へトラブルが及ぶ危険性もあるため、水やり後は必ず確認しましょう。

複数のひょうたんを育てたい場合でも、1つのプランターには1株までとしてください。2株以上を同じプランターに植えると、根が競合して十分な栄養を吸収できず、どちらも育ちが悪くなる可能性が高まります。

ひょうたんの種まき時期はいつ?

ひょうたんの種まきは、気温が重要な判断基準となります。発芽適温は25度から30度と高温を好むため、この温度帯を安定して確保できる時期を選ぶ必要があります。

具体的な種まき時期は、4月上旬から5月下旬が適期とされています。ただし、地域によって気温の上昇時期は異なるため、最高気温が20度を安定して超えるようになってから種をまくと良いでしょう。

20度台前半でも時間をかければ発芽しますが、25度以上の環境では発芽が早く安定します。そのため、無理に早まきをせず、十分に暖かくなってから種をまく方が失敗は少なくなります。

早まきには注意が必要です。室内で発芽させた苗を寒い時期に屋外へ出すと、最低気温が10度以下になる日に枯れてしまう危険性があります。苗を屋外へ出すのは、最低気温が15度以上で安定してからにしましょう。また、室内から屋外へ移す際は、数日かけて日中だけ屋外に置き、徐々に時間を延ばして日光や風に慣らす順化作業を行うと、苗が環境に適応しやすくなります。

遅い時期の種まきについては、6月中旬でも発芽までの期間が1週間程度と短く、問題なく育ちます。むしろ、気温が高い時期に種をまいた株は、病気に強く葉の状態も良好に保たれる傾向があります。

とはいえ、6月末以降の種まきでは、開花から収穫までの期間が十分に取れず、実が完熟しないまま秋を迎える可能性があります。加工用のひょうたんとして使えなくなるリスクがあるため、遅くとも6月中旬までには種まきを完了させることをおすすめします。

発芽を早めるための工夫

ひょうたんの種は皮が非常に硬く、水を吸収しにくい特徴があります。発芽率を上げるために、種まき前の処理を行いましょう。

ペンチなどで種の一部を軽く傷つけ、その後、数時間から一晩程度水に浸してから種をまくと、吸水が促進されて発芽しやすくなります。傷つける際は、種を割らないように注意深く作業してください。

また、保温マットや電気コタツなどを活用して地温を25度以上に保つことで、低温期でも発芽させることができます。ただし、発芽後は十分な日光が必要となるため、日当たりの良い場所を確保できない場合は、無理に早まきをせず適期を待つ方が賢明です。

ひょうたんの種をまく深さは?

ひょうたんの種をまく深さは?

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種をまく深さは、発芽率と発芽後の生育に大きく影響します。適切な深さで種をまくことが、丈夫な苗を育てる第一歩となるでしょう。

ひょうたんの種は、土の表面から1センチメートルから2センチメートルの深さに埋めるのが基本です。この深さであれば、種が十分な水分を吸収しつつ、発芽後の双葉が地表に出やすくなります。

浅すぎる場合は、水やりの際に種が浮き上がってしまい、適切な発芽環境を維持できません。逆に深すぎると、種が発芽しても地表まで到達するのに時間がかかり、もやしのように徒長した弱い苗になってしまいます。

種まきの具体的な手順を確認しましょう。9センチメートル程度のポットに土を入れ、中央に深さ2センチメートルほどの穴を作ります。種を1粒ずつ置いたら、土をかけて軽く押さえ、たっぷりと水を与えてください。

種を複数粒まいて後で間引く方法もありますが、初心者の場合は間引き作業をためらってしまうことが多いため、最初から1粒ずつまく方法がおすすめです。発芽しなかった場合は、別のポットで育てた苗を選んで植えつければ良いでしょう。

種をまく向きについても、横向きに置く方がわずかに発芽率が良いという報告があります。ただし、科学的に明確に証明されているわけではないため、試してみる価値がある程度と考えておくと良いでしょう。

発芽後の管理ポイント

種をまいた後、発芽するまでは直射日光が当たらない場所でも問題ありません。ただし、土の乾燥には注意が必要です。用土表面が乾き始めたら、湿り気を保つ程度に補水してください。過湿にすると種が腐る危険性があるため、毎日たっぷり水やりするのではなく、適度な湿度を保つことを心がけましょう。

気温が20度程度であれば10日から2週間、25度程度であれば7日から1週間で発芽します。発芽したらすぐに日光の当たる場所へ移動させましょう。日光不足の環境では、茎が細長く伸びたもやし状の弱い苗になってしまいます。

双葉に種の殻が付いたままの場合は、そのままでも自然に取れていきますが、双葉が開かない状態であれば、そっと手で取り除いてあげると良いでしょう。双葉が開かないと光合成ができず、成長が遅れる原因となります。

ベランダでグリーンカーテンとして育てる方法

ひょうたんは3メートルから5メートルもつるを伸ばす植物です。ベランダでグリーンカーテンとして活用すれば、夏の強い日差しを遮り、涼しい空間を作り出すことができます。

グリーンカーテンを作るには、まずしっかりとした支柱とネットの設置が必要です。ひょうたんの実は重量があるため、支柱やネットが貧弱だと、実の重みで倒れたり破れたりする危険性があります。

支柱とネットの設置方法

支柱とネットの設置方法には、大きく分けて「吊り下げタイプ」と「立てかけタイプ」の2種類があります。吊り下げタイプは、ネットの上下に支柱を通してベランダの手すりや洗濯物干しから吊り下げる方法です。2階など高い場所からネットを垂らせる環境に適しています。

立てかけタイプは、支柱で枠を作ってネットを張り、壁に立てかける方法です。上部に引っかける場所がない場合や、重い実がつく植物に向いています。ひょうたんも実が重くなるため、立てかけタイプの方が安定性は高いでしょう。着果後は果実ハンモック(市販の果実サポーターやストッキング)で吊ると、首折れ防止と表面の型崩れ防止に有効です。

ベランダの柵にラティスを取り付け、その上に園芸用ネットを張る方法が一般的です。ラティスは結束バンドでしっかりと固定し、ネットはたるみがないようピンと張ってください。ネットの目の大きさは10センチメートル程度が適しており、狭いベランダであれば7センチメートルから9センチメートル程度の細かめのネットも扱いやすいでしょう。

ベランダの中央部分など、柵がない場所には、物干し竿やステンレスパイプを活用します。洗濯物干し用の金具の穴に竹やパイプを通し、クリップや結束バンドで固定すれば、簡易的な支柱として機能します。

竹を2本つなぎ合わせる場合は、結束バンドでしっかりと固定してください。ただし、竹のつなぎ目は強度が弱くなるため、ステンレス製の物干し竿を使用する方が安定性は高まります。

ネットと建物の間に空間を開けると、風通しが良くなり、冷涼効果も高まります。ただし、空間を開けすぎるとネットや支柱の固定が不安定になるため、適度な距離を保つようにしましょう。

つるの誘引と日当たりの配分

つるの誘引は毎日のように行う必要があります。つるが伸びてきたら、ネットや支柱に絡ませながら、麻紐や園芸用の結束バンドで軽く固定してください。誘引が遅れるとつるが垂れ下がって折れてしまうことがあります。

つるを四方へ均等に広げ、麻紐でネットや支柱に固定していくと、きれいなグリーンカーテンが完成します。植物体全体に日光が当たるようバランスを見ながら誘引することで、葉が密に茂り、遮光効果も高まるでしょう。

毎日の軽い誘引作業をルーティン化すると、管理が楽になります。朝の水やりの時に一緒に誘引を行う習慣をつけると良いでしょう。

風対策の重要性

ベランダ栽培では、風が大きな課題となります。特にマンションの高層階では強風が吹きやすく、葉が大きいひょうたんは風の影響を受けやすい植物です。

台風や強風が予想される日には、プランターを室内に避難させたり、ネットを一時的に外したりする対策が必要です。代替策として、結束バンドを二重にする、支柱をクロスに補強するなどの方法もあります。

また、木のように強度のある支柱を選ぶことで、風による被害を最小限に抑えられます。強風前にはクリップや結束部分を増設し、固定を強化しておくと安心です。

実や支柱、器具などが強風で落下すると、下の階や通行人に危険が及ぶ可能性があります。固定部分は定期的に点検し、緩んでいる箇所があればすぐに補強してください。安全対策を怠らないことが、ベランダ栽培の基本です。

摘芯のタイミングと方法

摘芯のタイミングと方法

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ひょうたん栽培において、摘芯は実を多く収穫するための最も重要な作業の1つです。放任栽培では親づるが上へ伸び続けるだけで、実がほとんどつかないという結果になりがちです。

摘芯とは、つるの先端を切り取る作業のことを指します。この作業によって、脇芽の成長が促進され、子づるや孫づるが発生しやすくなります。実は親づるよりも子づる、さらには孫づるに多くつく性質があるため、適切な摘芯が収穫量を左右するのです。

親づるの摘芯は、つるが支柱やネットの最上部に到達した時点で行います。棚作りの場合は棚の上まで、ネット栽培の場合はネットの頂上まで親づるを伸ばしてから、先端をハサミで切り取ってください。

親づるが最上部に達するまでは、下の方から出てくる子づる(脇芽)をすべて摘み取ります。これにより、親づるへ栄養が集中し、しっかりとした太いつるに育ちます。親づるの摘芯後は、子づるを4本から6本程度残して伸ばしていきましょう。

子づるは6節程度伸びたら、再び先端を摘芯します。子づるを摘芯することで、孫づるが発生し、孫づるにたくさんの実がつくようになります。孫づるについては、葉を1枚残して摘芯する方法が推奨されています。

孫づるで摘芯する理由は、着果節位を増やすとともに、日当たりを確保するためです。葉を適度に残すことで、光合成に必要な葉の面積を保ちながら、通気性も良好に保てます。

脇芽かきの注意点

親づるを伸ばしている間は、下から出てくる子づる(脇芽)を早めにかき取る必要があります。脇芽を放置すると、親づるの生育が遅れてしまうためです。

脇芽は小さいうちに手で摘み取るか、清潔なハサミで切り取ってください。大きくなってから取ると、切り口が大きくなり、病気の侵入口となる危険性があります。

親づるが最上部に到達した後は、子づるを伸ばすため、脇芽かきは不要となります。むしろ、子づるは積極的に伸ばして、棚やネット全体につるを広げていくことが、収穫量を増やすコツとなるでしょう。

ベランダでひょうたんを育てるコツ

ベランダでひょうたんを育てるコツ

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ベランダでひょうたんを成功させるためには、基本的な栽培方法に加えて、いくつかの重要なコツを押さえておく必要があります。特に、葉ばかりが茂って実がならないという失敗を防ぐための対策は、多くの栽培者が知りたい情報でしょう。

  • 葉っぱばかりで実がならない原因は?
  • 水やりと肥料管理のポイント
  • ベランダ栽培で注意すべき病害虫
  • 収穫後のひょうたんの加工方法
  • ひょうたんの中身を水につける期間はどれくらいですか?

葉っぱばかりで実がならない原因は?

ベランダでひょうたんを栽培している方から最も多く聞かれる悩みが、葉は立派に茂るのに花が咲かない、または花は咲くのに実がつかないという問題です。この現象は「つる化け」と呼ばれ、複数の原因が考えられます。

着果を成功させるには3つの柱があります。第一に親づるが最上部に到達したら摘芯して子づると孫づるを発生させること、第二に着果期にはリン酸とカリの比重をやや高めた肥料を与えること、第三に夜から早朝の花が開いている時間帯に人工授粉を行うことです。この3つを押さえれば、実のつきやすさが大きく変わります。

原因その1:土の量と質の不足

第一の原因は、土の量と質の不足です。15リットル程度のバケツでは土の容量が明らかに不足しており、根が十分に張れません。根の発達が制限されると、地上部も健全に育たず、花芽の形成まで栄養が回らなくなります。

前述の通り、市販の培養土を使用する場合は、最低でも35リットルから40リットル、できれば50リットルから70リットル程度の土が必要です。良質な土を十分な量用意することが、実をつけるための大前提となります。

原因その2:窒素過多による栄養バランスの崩れ

窒素分の多い肥料を与えすぎると、葉ばかりが茂って花芽がつかなくなります。油かすなどの有機肥料は窒素成分が多いため、与えすぎに注意が必要です。特に親づるを伸ばしている時期の過剰な施肥は、つる化けの原因となります。

着果期には、リン酸やカリの比重をやや高めた肥料を選ぶことで、花芽の形成と実の充実を促進できます。窒素、リン酸、カリのバランスを意識した施肥管理が重要です。

原因その3:摘芯不足

摘芯を行っていないことも、大きな原因の1つです。親づるだけを伸ばし続けても、実は少ししかつきません。適切なタイミングで摘芯を行い、子づるや孫づるを発生させることが重要です。

原因その4:水不足

ひょうたんの葉は非常に大きく、蒸散量も多いため、水切れを起こすと株が弱ってしまいます。真夏には毎日、場合によっては朝晩2回の水やりが必要です。

ただし、過湿も問題となります。水はけの悪い土や、排水性を確保していないプランターでは、根腐れを起こして株が衰弱します。水やりは土の表面が乾いてから行い、受け皿に水が溜まったままにしないよう注意しましょう。

受粉がうまくいっていない可能性

花は咲いているのに実がつかない場合は、受粉が成功していない可能性があります。ひょうたんの花は日没後から夜間(例えば18時頃から22時頃)に開花し、翌朝にはしぼんでしまうため、受粉のタイミングが限られています。

自然状態では夜行性の虫が受粉を行いますが、ベランダでは虫が少ないため、人工授粉が確実です。夜から早朝の花が開いている時間帯に、雄花から葯を取り、雌花の柱頭に花粉をこすりつけてください。

雌花と雄花の見分け方は、花の付け根を観察することです。雌花には膨らんだ子房(小さな実のようなもの)がついていますが、雄花にはありません。子房の有無で確実に識別できます。なお、1株だけでも受粉は可能ですが、雄花が不足する夜に備えて、別株の雄花があると成功率が上がります。

また、開花時期に長雨が続いたり、気温が低すぎたりすると、受粉率が下がります。天候の回復を待ち、再度人工授粉を試みることで、着果率を高められるでしょう。

着果後の果数調整

ベランダ栽培で用土量が限られる場合、同時に肥大させる果数には上限があります。株の状態を見ながら果数調整を行うと、成功率が上がるでしょう。小型品種であれば、1株あたり2個から3個の実を目安に調整することをおすすめします。欲張って多くの実をつけたままにすると、株が衰弱して全ての実が充実しないまま終わる危険性があります。

水やりと肥料管理のポイント

ひょうたんは生育旺盛で大食いな植物であり、水と肥料の管理が栽培成功の鍵を握ります。特にベランダのプランター栽培では、土の量が限られているため、こまめな管理が必要不可欠です。

水やりの基本

水やりの基本は、土の表面が乾いたらたっぷりと与えることです。プランターの底から水が流れ出るまでしっかりと与えてください。水やりには、土に酸素を送り込む役割もあるため、少量ずつ何度も与えるよりも、一度にたっぷり与える方が効果的です。

真夏の時期は、葉が大きく茂ると蒸散量が非常に多くなります。朝に水やりをしても、夕方には葉がしおれているような状態であれば、朝晩2回の水やりに切り替えましょう。

水やりのタイミングは、朝は日が昇った直後の涼しい時間帯が最も理想的です。次点で夕方の日が沈んだ後が良いでしょう。真昼の高温時は蒸散が激しく水がすぐ乾いてしまうため、効率が悪くなります。

鉢底から水が出るまで与えた“後は必ず”受け皿の水を捨てる。受け皿に水が残ると根腐れを招きます。

水やりの際は、指先で土の表面を触って湿り具合を確認し、鉢底から水が流れ出ることを目視で確認すると、適切な水やりができているかチェックできます。

プランターの置き場所が高温になる環境では、スノコや人工芝、木片などを敷いて地温の上昇を抑えることが効果的です。地温が下がるだけで、水やりの頻度を減らすことができます。

肥料の種類と与え方

植えつけ時には、緩効性の化成肥料を元肥として土に混ぜ込みます。窒素、リン酸、カリが同じ割合で含まれた化成肥料が使いやすいでしょう。1年間効果が持続するタイプの肥料であれば、追肥の手間を減らせます。

植えつけから2週間後に、最初の追肥を行います。速効性の化成肥料をプランターの縁に沿ってパラパラとまくか、液体肥料を規定倍率に薄めて与えてください。

親づるが最上部に到達した頃と、実がつき始めた頃にも追肥が必要です。実がつくと栄養要求量が増えるため、週に1回程度、液体肥料を与えると良いでしょう。液体肥料は即効性があり、株の状態を見ながら調整しやすいメリットがあります。

油かすなどの窒素分が多い有機肥料は、与えすぎるとつる化けの原因となります。実をつけさせたい時期には、リン酸やカリが多めに配合された肥料を選ぶことで、着果を促進できます。

葉の色が薄くなってきたら、栄養不足のサインです。速やかに追肥を行い、株の回復を図りましょう。逆に、葉の色が濃すぎる場合は窒素過多の可能性があるため、追肥を控えめにしてください。

ベランダ栽培で注意すべき病害虫

ベランダ栽培で注意すべき病害虫

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ひょうたん栽培において、病害虫の被害は避けて通れない課題です。特にベランダ栽培では、風通しや日当たりが制限されることもあり、病気が発生しやすい環境となる場合があります。

うどんこ病の対策

最も注意が必要な病気は、うどんこ病です。葉の表面にうどん粉をふりかけたような白いカビが発生し、放置すると葉全体が白くなって光合成ができなくなります。

うどんこ病の原因は糸状菌というカビの一種で、風によって胞子が飛散して広がります。発見したら、白くなった葉をすぐに切り取って処分しましょう。放置すると他の葉にも感染が広がり、最終的には株全体が枯れてしまいます。

うどんこ病の予防には、日当たりと風通しの確保が最も効果的です。つるを適度に整理して、葉が重ならないように誘引してください。葉の混み合いを解消することで、発生リスクを大幅に減らせます。なお、うどんこ病は乾燥気味の環境でも発生しやすい病気ですので、湿度だけでなく風通しの改善が重要となります。葉面への散水は一時的に症状が目立たなく見えるだけで、根治策ではありません(葉の間引き・風道確保が優先)。

完熟堆肥などの有機物を土に混ぜ込むことで、土壌中の有用微生物が増え、病気に強い株が育ちます。カニ殻を土に混ぜ込むと、キチン質によって土壌生物が活性化しやすくなるとされています。

連作障害への注意

つる割れ病やつる枯病も、ひょうたん栽培で発生する可能性がある病気です。これらの病気は、連作障害によって発生リスクが高まるため、前年にウリ科の植物を栽培した土は使わないようにしましょう。ウリ科には、キュウリ、メロン、スイカ、カボチャ、ヘチマなどが含まれます。

土を再利用する場合は、天日で数日間干して日光消毒を行い、土の活性剤を混ぜ込むか、新しい土と半分ずつ混ぜて使用してください。

害虫対策について

ひょうたんにつく害虫としては、アブラムシとウリハムシが代表的です。アブラムシは急速に増殖するため、早期発見と早期駆除が重要となります。見つけ次第、粘着テープで捕獲するか、水で洗い流してください。

ウリハムシは、オレンジ色の体長1センチメートル程度の甲虫で、成虫が葉や果実をかじり、幼虫が根を食害します。ウリキンウワバというガの幼虫も、葉や幼果を食べて果実に跡を残すため、注意が必要です。

これらの害虫を見つけたら、割り箸などで捕殺するのが最も確実な方法です。被害が広がっている場合は、登録されている農薬を使用することも検討しましょう。ただし、農薬を使用する際は、必ず使用方法を守ってください。

乾燥時期には、ハダニも発生しやすくなります。葉裏に白い斑点やクモの巣状の糸が見られたら、ハダニの可能性があります。まずは葉裏へのシャワー散水で物理的に落とし(朝・夕の涼しい時間帯)、再発時は殺ダニ剤(ハダニ適用あり)をラベルどおりに。

苗の段階では、ナメクジにも注意が必要です。新しい土を使用すればナメクジは発生しませんが、前年に使用した土や、鉢植えの近くに置いたプランターでは、ナメクジが出現することがあります。芽を食べられると回復が難しいため、夜間に見回りをして捕殺するか、ナメクジ用の殺虫剤を使用してください。

収穫後のひょうたんの加工方法

収穫後のひょうたんの加工方法

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ひょうたんの栽培において、最終目標は、収穫した実を加工して容器や飾り物として楽しむことです。しかし、収穫のタイミングを誤ると、加工の際に実が壊れてしまうため、注意が必要です。

適切な収穫時期の見極め

概ね開花から40〜70日で“収穫可能な硬さ”に達します。小型品種(千成など)は40〜50日、大型品種は60〜70日が目安です。

ランプや彫刻など“実用加工に十分な完全硬化”には、開花からおおむね60〜120日かかります。早採りすると実がしっかり熟しておらず、加工時に皮が薄くて壊れやすくなります。

確実に完熟させるためには、つるや葉が枯れるまで待つことが重要です。完熟した実は、表面の毛がなくなり、爪先で叩くと高い音がするようになります。開花日のラベルをつけておくと目安になりますが、プランター栽培では地植えよりも完熟までの期間が長くかかる傾向があるため、日数だけで判断せず、つるの状態や実の状態も確認しましょう。

自然乾燥による加工方法

収穫後の加工方法には、「自然乾燥」と「水漬け」の2つの方法があります。自然乾燥は簡単で臭いも少ないため、初心者におすすめです。つるを長めに残して紐をつけ、風通しの良い場所に吊るしておくだけで加工が完了します。

自然乾燥の場合、表皮に黒カビ様の斑が出やすいですが、気にせず翌年の2月頃まで乾燥させてください。これは自然な現象で、最終的に擦り落として仕上げます。カラカラになったら、たわしやスポンジでこすって薄皮を取り除き、数日乾燥させれば完成です。種が中でコロコロと音を立てますが、数年間そのままでも問題ありません。

水漬け加工の手順

水漬け加工は、より白く美しい仕上がりになる方法です。まず、収穫したひょうたんに直径8ミリメートル以上の穴を開けます。種を出すためには、この程度の穴の大きさが必要です。

穴の位置は、つるの部分、底面、横面のいずれでも構いません。ランプシェードを作りたい場合は下側から、栓をつけたい場合はつる側から穴を開けると良いでしょう。木工用のドリルを使うと、きれいな穴を開けられます。

穴を開けたら、棒を入れて中身をかき混ぜます。割り箸や傘の骨などを使い、ひょうたんに穴を開けないよう注意しながら作業してください。できるだけ中身を取り出しておくと、後の作業が楽になり、腐敗にかかる時間も短縮できます。

千成ひょうたんの場合、2リットルのペットボトルを上部で切り、逆さにして水を入れると重石代わりになり便利です。大きな実や首が長い実、曲がった形の実は、中身をかき混ぜにくいため、腐るのを待つしかありません。

表皮が剥けて、中身が洗い流せる状態になったら水漬けは完了です。食器洗い用の洗剤を薄めた水に2日から3日浸けておくと、臭いがさらに軽減されます。晴天の日に日光に当てて一気に乾燥させれば、加工は完了です。

ひょうたんの中身を水につける期間はどれくらいですか?

ひょうたんの中身を水につける期間はどれくらいですか?

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ひょうたんの中身を腐らせて取り出すために水につける期間は、気温や実の大きさによって異なりますが、一般的には1週間から2週間程度が目安となります。この期間が短すぎると中身が十分に腐らず、長すぎると臭いが強くなりすぎるため、適切な期間を見極めることが大切です。

水につける期間を左右する要因として、まず気温が挙げられます。気温が高い夏場であれば1週間程度で中身が腐り、秋や春の涼しい時期では2週間程度かかることが多いでしょう。

実の大きさも期間に影響します。千成ひょうたんのような小型の品種は、1週間から10日程度で中身を取り出せる状態になりますが、大型のひょうたんでは2週間以上かかる場合もあります。

水の交換と臭い対策

水の交換頻度は、臭いの発生を抑えるために毎日行うことが理想的です。水を替えない方が早く腐るという意見もありますが、住宅街やマンションのベランダでは、臭い対策を優先した方が良いでしょう。

水につける際の容器選びも重要です。千成ひょうたんであれば、2リットルのペットボトルを切って使うと、水の交換が簡単で、重石代わりにもなります。大型のひょうたんには、バケツや大きめの容器を使用してください。

中身の取り出し完了の判断方法

中身の取り出しが完了したかどうかは、水洗いをしても固形物が出てこなくなり、表皮がきれいに剥けるようになったかで判断します。まだ中身が残っている状態では、水が濁ったり、固形物が出てきたりします。

表皮が完全に剥けない場合は、もう数日水につけておきましょう。無理に表皮を剥がそうとすると、ひょうたんの殻を傷つけてしまう可能性があります。

中身を取り出した後は、きれいに洗って日光に当てて乾燥させます。日陰で数日かけて乾かすと、シミができたりカビが生えたりするため、晴天の日を選んで一気に乾燥させることがポイントです。

乾燥後は、絵を描いたり彫刻したり、ランプシェードにしたりと、自由にアレンジを楽しめます。栓や房をつけると、より本格的な仕上がりになるでしょう。自分で育てたひょうたんを加工して、世界に一つだけの作品を作る喜びを味わってください。

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総括:ひょうたんの育て方|ベランダ栽培の完全ガイド&失敗しないコツ

  • プランターは最低でも35リットルから40リットル、推奨は50リットルから70リットルの容量を確保する
  • 小型品種の千成ひょうたんはベランダ向きで大型品種は用土量と支柱の強度がさらに必要
  • 種まき時期は4月上旬から5月下旬で最高気温が20度以上の時期を選ぶ
  • 種は土の表面から1センチメートルから2センチメートルの深さにまく
  • 室内から屋外へ移す際は数日かけて日中だけ屋外に置き順化作業を行う
  • 開花は日没後から夜間で人工授粉は夜から早朝の花が開いている時間帯に行う
  • 親づるが最上部に到達したら摘芯して子づるを伸ばし子づるは6節程度で摘芯する
  • 着果の三本柱は親づる摘芯による子孫づる化とリン酸カリ寄り施肥と夜から早朝の人工授粉
  • 葉ばかりで実がならない原因は土の量不足、窒素過多の肥料、摘芯不足、受粉不良
  • ベランダ栽培では小型品種で1株あたり2個から3個の実を目安に果数調整する
  • 水やりは朝が最も理想的で次点が夕方、真昼は効率が悪い
  • うどんこ病は乾燥気味でも発生しやすく日当たりと風通しの確保と葉の混み合い解消が重要
  • 支柱とネットはしっかりと固定し強風前は結束部分を増設する
  • ベランダでは耐荷重と排水と落下物に注意し固定部分を定期点検する
  • 収穫はつるや葉が枯れてから行い完熟させることが加工成功の鍵
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