カボチャを空中栽培するためのネットと支柱の基本テクニック

カボチャを空中栽培するためのネットと支柱の基本テクニック

カボチャの空中栽培とネットを活用した育て方について知りたいと考えている方は多いのではないでしょうか。通常、カボチャは広いスペースを必要とする野菜ですが、空中栽培なら限られた場所でも効率的に育てることができます。空中栽培にはメリットもあればデメリットもありますが、適切な品種選びと栽培方法を知ることで、狭い家庭菜園やベランダでも美味しいカボチャを収穫できるようになります。

この記事では、カボチャを空中栽培する際の基本的な準備や株間の取り方、支柱とネットの設置方法、摘心と整枝のコツなどを詳しく解説します。初心者の方でも実践しやすいように、ステップバイステップで空中栽培のやり方をご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

  • カボチャの空中栽培に適した品種と選び方のポイント
  • 支柱とネットの設置方法や具体的な誘引のコツ
  • 空中栽培でのカボチャの人工授粉の手順と成功させるポイント
  • 実を支えるための「つり玉」の作り方と身近な材料での代用品
目次

カボチャの空中栽培にネットを活用する方法と基礎知識

  • カボチャを空中栽培するメリットは?
  • 空中栽培できるカボチャの品種は?
  • カボチャ空中栽培の基本的な準備物
  • カボチャ空中栽培の株間はどれくらい?

カボチャを空中栽培するメリットは?

カボチャの空中栽培には多くのメリットがあります。最大のメリットは、限られたスペースでも効率的に栽培できる点です。通常、カボチャは地面を這うようにつるが広がり、大きな面積を必要としますが、空中栽培なら支柱とネットを利用して上方向へつるを伸ばせるため、狭い家庭菜園やベランダでも栽培が可能になります。

また、実が地面に接しないため、泥はねによる汚れや地面からの病害虫感染のリスクが低減します。土に触れず空中で実るカボチャは形や色が均一になりやすく、日焼けや変色も軽減でき、見た目もきれいに仕上がりやすくなります。

風通しがよくなるのも大きな利点です。空中栽培にすることで、カボチャの大敵である「うどんこ病」の発生を軽減できます。密植による蒸れを防ぎ、病気の予防につながるのです。

収穫作業も容易になります。地面に這わせた栽培では、葉の陰に隠れた実を見つけるのが難しいこともありますが、空中栽培では実の位置が分かりやすく、しゃがまずに作業できるため、腰への負担も軽減されます。

さらに、アーチ型に支柱を組んだ場合は、その下に涼しい日陰ができるため、夏の暑い時期に畑作業の休憩スペースとしても活用できます。このように、カボチャの空中栽培は実用性と楽しさを兼ね備えた栽培方法なのです。

ただし、注意点もあります。空中栽培の場合、実が大きくなると重みで果梗(かこう)や、つるの一部が折れることがあるため、実をネットや布で吊るす「つり玉」作業が必要になることがあります。また、地這い栽培と比べると収穫量は若干少なくなる傾向があります。

カボチャの空中栽培と地這い栽培の比較表

項目 空中栽培 地這い栽培
必要なスペース 狭い面積でもOK 広い面積が必要
収穫量 やや少ない 多い
管理の手間 定期的な誘引・整枝が必要 つるの整理や敷き藁などが必要な場合がある
病害虫対策 風通しが良く発生しにくい 発生しやすい
実の品質 形や色が均一に 地面との接触部分に変色あり
収穫のしやすさ 立ったまま作業可能 実の捜索と収穫に手間がかかる場合がある

空中栽培できるカボチャの品種は?

空中栽培できるカボチャの品種は?

空中栽培に適したカボチャ品種は、主に小型で軽量の品種です。特にミニカボチャと呼ばれる品種群が最適で、実が小さいため支柱やネットに過度な負担をかけません。

「坊ちゃん」は代表的なミニカボチャで、手のひらサイズの可愛らしい見た目と甘みの強さが特徴です。重さは約500g程度で、ホクホクとした栗のような食感が楽しめます。1株で複数の実をつけるため、収穫の喜びも大きい品種です。

「栗坊(くりぼう)」もミニカボチャの一種で、名前の通り栗のようなホクホク感が魅力です。水洗いしてラップで包み、電子レンジで5〜8分温めるだけで簡単に調理できる手軽さも人気の理由です。

「プッチィーニ」は皮が黄色い小型カボチャで、重さは200〜300gとかなり小ぶりです。糖度が高く、スープやサラダに適しています。料理の彩りとしても映えるため、一度は栽培してみる価値があります。

「ほっこり姫」は見た目はミニサイズながら、収量が多く、1株で7〜10個もの実が収穫できることもあります。大玉種と変わらない収量が期待でき、お得感があります。

「はやと」や「バターナッツ」も空中栽培に適しています。特にバターナッツは独特のひょうたん型をしており、皮が薄く肉質が粘質なため、スープなどの料理に最適です。

「黒皮の冬瓜」として知られる「ブラックのジョー」など、他の品種も近年は空中栽培に挑戦する家庭菜園家が増えています。

一方で、大玉カボチャは重さがあるため基本的には地這い栽培が向いていますが、丈夫な支柱とネットを使い、実をしっかり支える工夫をすれば空中栽培も不可能ではありません。ただし、初心者の方はまずミニカボチャから始めることをおすすめします。

おすすめの空中栽培向けカボチャ品種一覧

品種名 特徴 重さの目安 食感・味わい
坊ちゃん 手のひらサイズの小型 約500g ホクホク、栗のような甘さ
栗坊 食べやすい小型 約500g ホクホク、電子レンジ調理可
プッチィーニ 黄色い皮の小型 200〜300g 糖度高め、スープ向き
ほっこり姫 収量が多い 600〜800g ホクホク、甘み強い
バターナッツ ひょうたん型 800g前後 ねっとり、スープ向き
はやと 日本種 700g前後 キュアリング不要

これらの品種を選べば、限られたスペースでも効率的にカボチャ栽培を楽しむことができます。

カボチャ空中栽培の基本的な準備物

カボチャの空中栽培を始めるには、いくつかの基本的な準備物が必要です。まず第一に、丈夫な支柱とネットが不可欠です。支柱は直径16mm程度、長さ210cm前後のものが適しており、アーチ型に組むなら9本程度用意すると安心です。プランター栽培の場合は、行灯(あんどん)型に組むための支柱を4本準備しましょう。

ネットは目合いが10cm前後の園芸用ネットが最適です。ビニール製のものもありますが、麻ひもでできたネットなら収穫後に片付ける際に取り外しやすく、環境にも優しいのでおすすめです。ネットを固定するためのシュロ紐や麻紐、輪ゴムなども必要になります。

土づくりに関しては、カボチャは水はけの良い土壌を好むため、苦土石灰や堆肥、化成肥料などを用意しておきましょう。プランター栽培の場合は、深さ50cm、直径40cm以上の大きめのプランターと野菜用培養土が必要です。

カボチャの実を支えるための「つり玉」用具も準備しておくと安心です。果物用ネットやストッキング、収穫用の伸縮性ネットなどを活用できます。実の下に敷くためのF(エフ)マットやペットボトルの底、食品トレイなども便利です。これらは実が地面に触れるのを防ぎ、カビや変色を予防します。

受粉を確実にするための小さな筆や、病害虫対策としてクエン酸スプレー、重曹とオリーブオイルを混ぜた溶液の準備も役立ちます。特にうどんこ病はカボチャの大敵なので、早期対策が重要です。

そして忘れてはならないのがマルチシートです。黒マルチを使うことで地温を上げ、雑草対策にもなります。植え付け直後の寒い時期には、保温のためのトンネル支柱と防虫ネットも用意しておくといいでしょう。

空中栽培の支柱・ネットセットの選び方

市販の支柱・ネットセットを利用すれば、初心者でも簡単に空中栽培の環境を整えられます。選ぶ際のポイントは以下の通りです。

  1. 強度:カボチャの実の重さに耐えられる丈夫さがあるか
  2. 高さ:1.6m以上あると作業がしやすい
  3. 幅:90cm以上あると複数のつるを伸ばせる
  4. 組立の容易さ:工具不要で組み立てられるものが便利

自作する場合は、竹や園芸用支柱を使ってアーチ状に組み、横棒で連結して強度を高めるのがコツです。支柱同士の間隔は30cmを目安にすると、カボチャのつるが絡みやすくなります。

カボチャ空中栽培の株間はどれくらい?

カボチャの空中栽培における適切な株間は、栽培方法や品種によって異なります。基本的には、空中栽培の場合、地這い栽培よりも株間を狭くすることが可能です。一般的な地這い栽培では株間を1m以上空けますが、空中栽培では50〜70cm程度まで縮めることができます。

アーチ型の支柱を使った空中栽培の場合、株間は50cm程度が目安です。これは、つるを縦方向に誘引するため、横への広がりが少なくて済むからです。ただし、あまり密植すると風通しが悪くなり、うどんこ病などの発生リスクが高まるため注意が必要です。

プランター栽培の場合は、600型(幅60cm程度)のプランターなら1株、大型のプランターでも2株までにするのが無難です。65型プランターで2株栽培する場合は、株間40cmを目安に植え付けます。プランターは根の張る空間が限られるため、あまり欲張って植えすぎないことが大切です。

品種によっても適切な株間は変わります。ミニカボチャなら株間50cmでも問題ありませんが、バターナッツなど比較的大きめの品種では60〜70cmほど空けた方が良いでしょう。特に、両側からつるを伸ばすアーチ型の空中栽培では、左右の株が混み合わないよう余裕を持たせることが重要です。

また、カボチャは養分をよく吸収する性質があるため、株間が近すぎると「つるぼけ」(つるばかり伸びて実がつかない状態)が起きやすくなります。そのため、初心者の方は多少広めに株間をとっておく方が安全です。

栽培方法別の株間の目安

栽培方法 株間の目安 備考
アーチ型空中栽培 50〜70cm アーチの両側に植える場合は70cm
行灯(あんどん)型空中栽培 40〜50cm 1つの支柱周りに1株
生垣利用の空中栽培 50〜70cm 蔓の伸びる方向に余裕を
プランター栽培 40cm 600型なら2株まで
小型プランター 1株のみ 深さ30cm以上確保

空中栽培では株間を適切に保つことで、日照や風通しが確保され、病害虫の発生も抑えられます。また、各株に十分な養分が行き渡り、実つきの良いカボチャを育てることができるでしょう。定植時にはこれらの点を考慮して、適切な株間を確保してください。

カボチャの空中栽培でネットを使った具体的なやり方

カボチャの空中栽培でネットを使った具体的なやり方

  • 支柱とネットの設置方法
  • カボチャ栽培での摘心と整枝のコツ
  • 空中栽培での人工授粉のやり方
  • カボチャのマットの代用になるものは?
  • カボチャ空中栽培のデメリットと対策

支柱とネットの設置方法

カボチャの空中栽培を成功させるには、適切な支柱とネットの設置が重要です。支柱とネットをしっかり設置することで、カボチャのつるが上手に誘引され、限られたスペースでも効率的に栽培できます。

まず、支柱の立て方には大きく分けてアーチ型と行灯(あんどん)型の2種類があります。アーチ型は、空間を有効活用でき見た目も美しいため人気があります。設置方法は、3本の支柱を上から10cmほどの位置で輪ゴムを使って仮止めし、それを2セット作ります。仮止めした支柱を交差させて三又状に開き、栽培地の両側に設置します。次に2本の支柱を同じく輪ゴムで仮止めし、交差させて栽培地の中央に挿し込みます。

ここからが重要なポイントです。支柱をシュロ紐でしっかり固定し、立てた支柱の上に1本支柱を通して横に固定することで強度を高めます。支柱同士の間隔は30cmを目安にすると良いでしょう。畑の幅が広い場合は、間の支柱を増やして安定させます。

行灯型は、プランター栽培に適しています。90〜100cmの支柱をプランターの四隅に立て、紐を巻きつけて四角形を作ります。この構造にカボチャのつるを誘引していきます。

次に、ネットの張り方です。アーチ型に組んだ支柱全体を覆うように、10cm角目の園芸用ネットを張ります。ネットはたるみがないようにシュロ紐や麻紐でしっかり固定します。ネットが短い場合は、複数枚を連結して使用します。連結方法は、端に出ている紐をお互いに結ぶだけで簡単にできます。

プランター栽培やベランダでの栽培には、ベランダの柵にネットを張る方法も有効です。この場合、柵にしっかりとネットを固定し、カボチャのつるを誘引していきます。

生垣を利用した空中栽培では、生垣の前に支柱を立ててネットを張ります。カボチャの苗を植えた場所から生垣に向かってつるを誘引し、生垣に到達したらネットに沿って横方向に伸ばしていきます。

支柱・ネット設置のポイント

  1. 支柱は深さ30cmほど土に差し込み、グラつかないよう固定する
  2. ネットは適度な張りを持たせ、カボチャの実の重みでたるまないようにする
  3. 風の強い地域では支柱の本数を増やすか、太い支柱を使用する
  4. 麻紐などの自然素材を使えば、片付けの際に切って残しても土に還る
  5. 支柱同士の固定には、輪ゴムやビニールタイなど劣化しにくい素材を使う

このように適切に支柱とネットを設置すれば、カボチャのつるをスムーズに誘引でき、空間を有効活用した栽培が可能になります。また、風通しも良くなるため病害虫の発生も抑えられるでしょう。

カボチャ栽培での摘心と整枝のコツ

カボチャの空中栽培では、摘心と整枝が非常に重要です。適切な摘心と整枝を行うことで、限られたスペースで効率的に栽培でき、バランスの良い成長と実つきを促すことができます。

摘心とは、カボチャの茎の先端を切ることで脇芽(わき芽)の発生を促す作業です。整枝は、不要な脇芽を取り除いて枝の数を調整する作業です。カボチャの品種や栽培方法によって、適切な整枝方法が異なります。

西洋カボチャと日本カボチャでは、整枝方法が少し違います。西洋カボチャは親づるでの実付きが良いため、親づる1本仕立てや親づる1本と子づる1本の2本仕立てにします。下から10節程度までのわき芽はかき取り、その後は放任して誘引しながら育てると良いでしょう。

一方、日本カボチャは子づるに実がつきやすいため、本葉が4〜6枚になったら親づるを摘心し、元気の良い子づる2〜3本を残して他は摘み取る「子づる2〜3本仕立て」が一般的です。さらに、孫づる(子づるから出るわき芽)は実のつく節以外すべて摘み取ります。

ミニカボチャの場合、摘心せずに親づるを伸ばし、下葉を適宜整理する方法もあります。これは特に空中栽培で、アーチの上部までつるを伸ばしたい場合に有効です。

摘心のタイミングは、本葉が4〜5枚になった頃が適期です。この時期に親づるの先端をハサミでカットします。ハサミは清潔なものを使い、病気の感染を防ぎましょう。

整枝作業では、株元近くの不要な脇芽はできるだけ早い段階で取り除くことが大切です。脇芽が大きくなると切り口も大きくなり、そこから病気が入りやすくなるためです。また、花やつぼみを傷つけないよう注意しながら作業しましょう。

空中栽培ならではのポイントとして、つるの誘引も重要です。つるはどんどん伸びるので、1週間に1度は様子を見て、ネットや支柱に誘引します。このとき、つるをきつく縛りすぎると生育に影響するので、少し余裕を持たせて固定します。

仕立て方の種類と特徴

仕立て方 特徴 向いている品種
親づる1本仕立て 最も着果が安定する 西洋カボチャ、バターナッツ
子づる2本仕立て 収量増加が期待できる ミニカボチャ全般
子づる3本仕立て 収量最大化が期待できる 日本カボチャ

さらに、実が大きくなってくると葉が茂り過ぎて風通しが悪くなることがあります。そうした場合は、実を隠す葉以外の古い葉や黄色くなった葉を適宜取り除きます。特に株元の風通しを良くすることで、病気の発生を抑えられます。

ただし、葉を取り過ぎると光合成が十分に行われず、実の成長に影響するので、バランスを見ながら整理しましょう。実の周りの葉は日焼け防止のためにある程度残しておくことがポイントです。

このように、カボチャの摘心と整枝を適切に行うことで、限られたスペースでも効率的に栽培でき、健康な実を収穫することができます。

空中栽培での人工授粉のやり方

カボチャの空中栽培を成功させるためには、人工授粉が非常に重要です。カボチャは雄花と雌花が別々に咲く植物で、風や昆虫の力を借りて自然に受粉することもありますが、確実に実をつけるためには人工授粉を行うことがおすすめです。

人工授粉の基本的な手順は非常にシンプルです。まず、早朝(遅くとも午前9時まで)に作業を行うことが重要です。これは花粉が最も活性化している時間帯だからです。朝遅くなると花がしぼみ、授粉が難しくなります。

具体的な手順としては、雄花を見つけたら花びらを取り除き、雄しべをむき出しにします。次に雌花を見つけ、その雌しべに雄しべをこすりつけます。雌花は花の下が丸く膨らんでいるのが特徴で、この膨らみが将来のカボチャになります。

カボチャは基本的に風や虫の力を借りて自然に受粉する植物ですが、稀に受粉せずに生育が止まることがあるため、人工授粉するほうが間違いありません。受粉作業は花粉が最も活発な朝の早い時間帯に行うと効果的です。

人工授粉に成功すると、2〜3日後には子房が大きくなり始めます。この時点で受粉成功がわかるので、日付を書いた札をつけておくと収穫時期の目安になります。受粉日から35〜45日後が収穫の目安となります。

空中栽培での人工授粉は地這い栽培よりも利点があります。実が見つけやすく、作業も立ったまま行えるため、腰への負担が軽減されます。また、雄花と雌花が見つけやすいため、授粉作業もスムーズに進みます。

ただし、注意点もあります。空中栽培では気温の変化によって花の咲く時期が変わることがあります。特に、気温が低いと雄花が咲かず、気温が高くなると雌花が咲きにくくなる傾向があります。そのため、雄花が咲いたら摘んで冷蔵庫の野菜室に保存しておくという方法も有効です。翌日雌花が咲いた場合に利用できます。

人工授粉の成功率を高めるポイント

  1. 早朝に作業を行う(午前9時まで)
  2. 雄花の花粉が十分にあるか確認する
  3. 雌花の柱頭が黄色くなるほどしっかり花粉をつける
  4. 受粉に成功したら日付のラベルをつける
  5. 天候の良い日を選んで作業する

このように人工授粉を確実に行うことで、空中栽培でもカボチャの実付きを良くすることができます。初心者でも簡単にできる作業なので、ぜひチャレンジしてみてください。

カボチャのマットの代用になるものは?

カボチャの空中栽培では、実が大きくなってくると重みで茎が折れることがあるため、実を支える「つり玉」作業が必要になります。また、地這い栽培でもカボチャの実が地面に直接触れると、土の湿気や虫によって腐りやすくなるため、何らかの敷物を使うことが一般的です。

まず、市販品としては「Fマット」や「シンエツマット」といったカボチャ栽培専用のマットがあります。これらは果実の下に敷くことで、地面の湿気や虫から守り、カビや変色を防ぐ役割をします。しかし、家庭菜園では身近なもので代用できるものがたくさんあります。

空中栽培とはいえ、実が付いた場所によっては、成長とともに地面に付いてしまうこともあります。地面に付くと、土などがついて汚れるだけでなく、カビたり腐ったりする原因になります。藁などで土がつかないようにしておくと良いでしょう。藁を買うのも面倒な場合は、ペットボトルを使った例もあります。

ペットボトルはカボチャのマットとして人気の代用品です。使い方はシンプルで、ペットボトルの底の部分を切り取って実の下に敷きます。ただし、底を切り取ったペットボトルをそのまま使うと、かえって蒸れやすくなることがあるため、底をそのまま台として使うほうが効果的との意見もあります。

また、食品トレイも洗って乾かせばマット代わりになります。スーパーの肉や魚売り場で手に入るプラスチックトレイは、洗って消毒すれば立派なカボチャの敷物になります。穴が開いていないタイプがおすすめです。

卵のパックも実を支える台として活用できます。特に紙製のものは水分を吸収する効果もあり、実の腐敗防止につながります。

藁(わら)は伝統的な敷物ですが、入手が難しい場合は、落ち葉や刈り草でも代用可能です。これらは地面の湿気を吸収し、カボチャの実を清潔に保つ効果があります。

空中栽培では、実がネットから吊り下がる状態になるため、果物ネットやストッキング、収穫用の伸縮性ネットを使って実を吊るす「つり玉」も行います。これらのネットに実を入れ、支柱や棚に結びつけて固定します。手芸用の太い糸で自作したネットも効果的です。

カボチャの実を保護する代用品まとめ

代用品 使い方 特徴
ペットボトル 底を切るか、そのまま台として使用 手に入りやすく、水はけ良好
食品トレイ 洗って乾かしてから使用 平らで安定感がある
卵パック そのまま台として使用 紙製なら水分吸収効果あり
落ち葉・刈り草 実の下に敷く 自然素材で環境にやさしい
ストッキング 実を包んで吊るす 伸縮性があり実をソフトに保護

このように、身近なものを活用することで、専用のマットがなくても、カボチャの実をしっかりと保護することができます。実の状態や栽培環境に合わせて、最適な方法を選んでみましょう。

カボチャ空中栽培のデメリットと対策

カボチャの空中栽培は限られたスペースで効率的に栽培できる魅力的な方法ですが、いくつかのデメリットも存在します。これらの課題を理解し、適切な対策を講じることで、より成功率の高い栽培が可能になります。

最大のデメリットは、地這い栽培と比較して収量が少なくなることです。スペースが限られているため収量は一般的な栽培方法よりも少なくなるでしょう。地這い栽培では広い面積を使って多くの実をつけることができますが、空中栽培では支柱やネットの能力に限界があるため、収穫量に制限が生じます。

対策としては、収量を重視するよりも、限られた実を確実に育てることに注力しましょう。1株あたり1〜3個の実に栄養を集中させることで、質の高いカボチャを収穫できます。また、ミニカボチャ品種を選ぶことで、コンパクトながらも数多く実をつけることが可能です。

次に、キュウリやゴーヤと違って地這いの性質が強いため、ツルがネットを登っていかず何度も自分で誘引させてやる必要があるという点があります。カボチャは本来地面を這う習性があるため、上方向への誘引作業が頻繁に必要になります。

この問題には、定期的なつるの誘引作業を欠かさず行うことが重要です。麻紐や支柱に8の字結びでしっかり固定し、成長点が常に上を向くようにします。また、つるが自然に絡みつきやすいネット(目の粗いもの)を使用すると作業が軽減されます。

大玉品種の場合は、果実が重すぎて栽培しにくいというデメリットもあります。実が大きく成長すると支柱やネットに負担がかかり、最悪の場合は崩壊することもあります。

これには、まず小型のミニカボチャ品種を選ぶことが最も効果的です。どうしても大玉を育てたい場合は、支柱を太く丈夫なものにし、数を増やして補強することが必要です。また、果実ごとに個別のネットやストッキングで吊るす「つり玉」作業を丁寧に行うことで、支柱への負担を分散させられます。

うどんこ病の発生も空中栽培の課題です。地這い栽培より風通しは良くなりますが、葉が密集すると発生しやすくなります。対策として、定期的な下葉の整理や株元の風通しを良くする剪定が効果的です。また、重曹とオリーブオイルを混ぜた溶液の散布など、環境に優しい防除方法も有効です。

最後に、水やり管理も空中栽培では重要になります。地面から離れているため乾燥しやすく、特にプランター栽培では注意が必要です。定植後はたっぷりと水を与え、その後は表土が乾いたらたっぷりと水やりをする習慣をつけましょう。

空中栽培のデメリットと対策まとめ

デメリット 対策
収量が少ない ミニ品種を選び、1株あたりの栽培数を適切に管理する
誘引作業が頻繁に必要 定期的なつるの誘引、絡みつきやすいネットの使用
大玉の果実は重みで支柱が倒れる 丈夫な支柱の使用、支柱の数を増やす、ミニ品種を選ぶ
うどんこ病の発生 下葉の整理、風通しを良くする、重曹スプレーの使用
乾燥しやすい 適切な水やり管理、マルチングの活用

これらのデメリットを理解し、適切な対策を講じることで、空中栽培の利点を最大限に活かしながら、美味しいカボチャを収穫することができます。特に初心者の方は、まずはミニカボチャから始めて、経験を積んでから大玉種に挑戦するのがおすすめです。

総括:カボチャを空中栽培するためのネットと支柱の基本テクニック

この記事をまとめると、

  • カボチャの空中栽培は限られたスペースでも効率的に栽培できる方法である
  • 支柱とネットを使いつるを上方向に誘引することで狭い家庭菜園やベランダでも栽培可能
  • 坊ちゃん、栗坊、プッチィーニなどのミニカボチャ品種が空中栽培に適している
  • 実が地面に接しないため泥はねや病害虫被害が減少し、品質の良い実を収穫できる
  • 風通しが良くなりうどんこ病などの発生リスクを軽減できる
  • 空中栽培には深さ30cm以上のプランターか畑の場合はアーチ型支柱が必要
  • 株間は一般的に50〜70cmで、アーチ型空中栽培では両側に植える場合は70cmが目安
  • 西洋カボチャは親づる1本仕立て、日本カボチャは子づる2〜3本仕立てが基本
  • 人工授粉は早朝に雄花の花粉を雌花につけて行うと確実に着果させられる
  • 実がある程度大きくなったらネットやストッキングで吊るす「つり玉」が必要
  • 空中栽培の最大のデメリットは地這い栽培より収量が少なくなること
  • カボチャは地這い性が強いため定期的なつるの誘引作業が欠かせない
  • 収穫目安は受粉から35〜45日で、果梗部がコルク化してきたら収穫適期
  • 収穫後は2週間〜1ヶ月追熟させると甘みが増して美味しくなる
  • 支柱とネットはしっかり固定し、実の重みに耐えられる丈夫なものを選ぶ
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