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マリーゴールドの育て方や冬越しの方法について知りたいと考えている方は多いのではないでしょうか。鮮やかなオレンジや黄色の花を咲かせるマリーゴールドは、ガーデニング初心者にも人気の植物です。しかし、冬の寒さに弱い性質があるため、適切な管理方法を知らないと枯れてしまうことがあります。
マリーゴールドには一年草と多年草の品種があり、それぞれ育て方や冬の管理方法が異なります。鉢植えで育てる場合と地植えで育てる場合でも、水やりや置き場所の工夫が必要です。また、花時期を長く楽しむためには、育て方における摘芯や切り戻しといったお手入れが欠かせません。花が終わったら適切に処理することで、翌年も美しい花を咲かせることができます。
なお、本記事で扱うマリーゴールドはタゲテス属(フレンチマリーゴールドやアフリカンマリーゴールドなど)を指します。キンセンカ(カレンデュラ)とは別種ですので、ご注意ください。線虫抑制などで紹介されることもありますが、植えるだけで広範な虫を防ぐ効果は限定的です。本記事では、マリーゴールドを元気に育て、冬を乗り越えるための具体的な方法を詳しく解説していきます。
- マリーゴールドの基本的な特性と冬越しの可能性
- 一年草と多年草の違いと適した品種選び
- 鉢植えと地植えそれぞれの育て方のポイント
- 花を長く楽しむための摘芯や切り戻しの方法
マリーゴールドの育て方と冬越しの基本

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- マリーゴールドは冬越しできる?
- 一年草と多年草の違い
- 冬越しに適した品種
- 耐寒性と適温について
マリーゴールドは冬越しできる?
マリーゴールドは基本的に寒さに弱い植物ですが、品種によっては冬越しが可能です。一般的に広く栽培されているフレンチマリーゴールドやアフリカンマリーゴールドは、日本の露地栽培では一年草として扱われ、冬になると枯れてしまいます。これらの品種は霜に当たると傷んでしまうため、寒冷地では冬を越すことが難しいでしょう。
ただし、適切な環境を整えれば冬越しさせることも不可能ではありません。室内に取り込んで10℃以上の温度を維持し、十分な日照時間を確保できれば、理論的には冬を越すことができます。しかし、一般家庭でこのような環境を整えるのは現実的ではなく、コストと手間がかかります。
加えて、一年草として扱われる品種は、一般家庭の条件では数年で株が衰えやすく、新しい苗を更新しながら楽しむのが現実的です。マリーゴールドは比較的安価で手に入る植物ですので、毎年新しい苗を購入して育てるほうが、元気で美しい花を楽しめるでしょう。
冬越しを目指す場合は、気温10℃以上を目安に維持し、十分な日照を確保することが条件となります。ただし、手間とコストを考えると、春に新しい苗を植えるほうが効率的といえます。
一年草と多年草の違い
マリーゴールド
名前は、聖母マリアの祭日に咲いているため、「聖母マリアの黄金の花」として命名
和名は孔雀草他
メキシコ原産のキク科の一年草や多年草で、17世紀頃渡来
4~12月に、茎から伸びた花茎の先に、直径2~5cmの花が咲く
花言葉は「健康」「予言」など
6月5日、7月18日などの誕生花 pic.twitter.com/0cCe9BHyhy
— 谷 遊人 (@Tani202001_2) August 24, 2025
マリーゴールドには大きく分けて一年草タイプと多年草タイプが存在します。フレンチマリーゴールドやアフリカンマリーゴールドは、本来は非耐寒性の多年草に分類される種もありますが、日本の一般的な露地栽培では一年草として扱われます。これらは春に種をまき、その年のうちに発芽、成長、開花、結実を経て枯れるというライフサイクルを持ちます。
一方、多年草のマリーゴールドは同じ株から毎年花を咲かせることができます。冬でも葉が枯れず、年を越して成長を続ける品種もあり、一度植えると長期間楽しむことが可能です。代表的な多年草品種には「レモンマリーゴールド」や「ミントマリーゴールド」があります。
多年草タイプは耐寒性がありますが、厳寒期には地上部が傷むこともあります。温暖な地域では屋外でも冬越しが可能ですが、寒冷地では不織布やマルチ、あるいは屋内への取り込みが必要です。また、年間を通してのお手入れが必要で、定期的なチェックが欠かせません。環境によっては病害虫の影響を受けやすいという注意点もあります。
一年草は短期間で花を楽しめるため、季節ごとに庭の模様替えを楽しみたい方に向いています。多年草は植え替えの手間が少なく、長期間栽培を楽しみたい方におすすめです。ライフスタイルや育てる環境に合わせて、適切なタイプを選びましょう。
冬越しに適した品種

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冬越しを成功させたい場合は、多年草タイプのマリーゴールドを選ぶことが重要です。特におすすめなのが「レモンマリーゴールド」で、鮮やかな黄色い花と爽やかなレモンの香りが特徴です。草丈は比較的高めですが、暑さにも寒さにも強いため、初心者でも育てやすい品種といえます。
レモンマリーゴールドは耐寒性に優れており、関東以南では植えっぱなしでも育ってくれます。環境や株の状態によりますが、おおむねマイナス3℃からマイナス7℃程度が耐寒温度の目安とされています。寒冷地では防寒対策が前提となりますので、株元にマルチング材を敷いたり、不織布で覆ったりする工夫が必要です。
もうひとつの代表的な品種が「ミントマリーゴールド」です。レモンマリーゴールドの近縁種で、小さな花がまとまって咲くのが特徴です。この品種も比較的耐寒性がありますが、強い凍結には弱いため、寒冷地では防寒が必須となります。限られたスペースでも育てられるため、プランターや小さな庭に適しています。葉に独特の香りがあり、料理のアクセントとしても活用できます。
食用利用は主にタゲテス・ルシダ(ミントマリーゴールド)で知られています。レモンマリーゴールドは樹脂香が強く、香りを楽しむ観賞用途が中心です。食用にする場合は種の同定と無農薬管理を徹底してください。
これらの品種を選ぶ際には、日当たりと水はけの良い環境を整えることが大切です。鉢植えであれば移動が可能なため、気候条件に合わせた管理がしやすくなります。冬越しを目指す方は、ぜひこれらの多年草品種を検討してみてください。
品種名 | 耐寒温度の目安 | 防寒対策 | 特徴 |
---|---|---|---|
レモンマリーゴールド | -3℃~-7℃程度 | 寒冷地ではマルチ・不織布推奨 | レモンの香り、観賞用途中心 |
ミントマリーゴールド | -3℃~-5℃程度 | 強い凍結時は屋内取り込み推奨 | 小さな花、料理への利用可 |
耐寒性と適温について
おはようございます٩(*´꒳`*)۶
🌸🌸🌸花の便り🌸🌸🌸#マリーゴールド
非耐寒性の草花です。開花期は5~11月頃と開花期が長く初心者にも育てやすい植物です#花 #風景#写真で奏でる私の世界 #ファインダー越しの私の世界 pic.twitter.com/4u7ekyGFWB— 🌸🌸花ひばち🌸🌸 優しい繋がりに感謝・感謝 (@M_hanahibachi) April 9, 2022
マリーゴールドの生育適温は15℃から25℃程度とされています。この温度帯では光合成が効率的に行われ、根や茎、葉の成長が促進されます。特に春から夏にかけての温暖な時期に最も成長が活発になりますが、気温が高すぎるとストレスを受けることがあります。
真夏の30℃を超えるような日が続く場合は、日陰を作るなどの対策が必要です。暑さで株が弱ると、花数が減ったり、花が咲かなくなったりすることがあります。このような時期は肥料を控え、涼しくなってから追肥を再開するのが良いでしょう。
一年草として扱われるタイプは低温に弱く、特に霜が降りるような環境ではダメージを受けやすくなります。気温が15℃以下になると生育が鈍化し、霜に当たると枯れてしまうことも少なくありません。そのため、基本的には一年草として扱われます。
多年草タイプの冬越しは、概ね10℃以上を目安とします。暖地や日照条件次第で異なりますが、低温時は乾かし気味に管理することが大切です。気温が極端に低い地域では防寒対策が必要で、株元にマルチング材を敷いたり、不織布で覆ったりすることで寒さから保護できます。鉢植えの場合は、寒さが厳しい夜間や冷え込む日には屋内や日当たりの良い場所に移動させることをおすすめします。冬の直射日光が少ない場合でも、なるべく光が当たる場所に置くようにしましょう。
冬の間は湿気が多くなることもあるため、水はけの悪さが根腐れの原因になります。土壌が凍ったり、過剰な水分が根に溜まったりしないよう注意が必要です。株の状態や乾き具合によって耐寒温度は変動しますので、環境に応じた管理を心がけましょう。
マリーゴールドの育て方で冬越しを成功させるコツ

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- 鉢植えでの育て方と管理
- 地植えでの育て方と注意点
- 花時期と開花のサイクル
- 植え時期はいつが最適?
- 育て方で重要な摘芯のタイミング
- 切り戻し時期と方法
- 花が終わったらどうする?
- 育て方のポイント:種まきと保存
鉢植えでの育て方と管理
鉢植えでマリーゴールドを育てる場合、水はけの良い土を使用することが成功の鍵となります。市販の花用培養土を選ぶと便利で、多くの場合そのまま使用できます。自分でブレンドする場合は、赤玉土(中粒)5、培養土3、パーライト2の配合など、排水性と通気性を重視した配合がおすすめです。鉢の底には必ず軽石を敷いて、排水性を確保しましょう。
水やりは土の表面が乾いてから、鉢の底から水が流れ出るくらいたっぷりと与えます。マリーゴールドは過湿を嫌うため、毎日水やりする必要はありません。土を触ってみて乾燥していることを確認してから水を与えるようにしましょう。特に冬場は成長が緩やかになるため、水やりの頻度を減らし、土が完全に乾いてから少量の水を与える程度に留めます。地植えと比較すると、鉢植えは土の量が限られているため、乾燥しやすい傾向があります。
置き場所は日当たりと風通しの良い場所を選びます。1日を通して直射日光が当たる南向きのバルコニーやベランダが理想的です。ただし、真夏の強烈な直射日光は葉焼けを引き起こす可能性があるため、適度な遮光が必要になることもあります。午前中に日が当たり、午後は半日陰になる場所でも育てることができます。
肥料は植え付け時に元肥として緩効性肥料を混ぜ込み、開花中は2週間に一度を目安に液体肥料を与えます。窒素、リン、カリウムのバランスが取れた肥料を選ぶことで、花付きが良くなります。ただし、真夏は株が弱りやすいため、施肥を控え、灌水と風通しの確保を優先しましょう。涼しくなってから追肥を再開します。
鉢植えの場合は移動が可能なため、季節や天候に応じて最適な場所に移動させることができます。冬越しさせる場合は、夜間の気温が10℃を下回るようになったら室内に移動させることをおすすめします。
地植えでの育て方と注意点
おはようございます☔️
今週は天気荒れそうですね🌪️
地植えのマリーゴールドも
咲き始めました pic.twitter.com/II3xACH9OU— はなのなっち (@8787nachi) July 13, 2025
地植えでマリーゴールドを育てる場合は、まず土づくりが重要です。植え付ける前に土を掘り起こし、腐葉土や堆肥を混ぜ込んで耕しておきましょう。マリーゴールドは中性から弱酸性の土壌(pH5.5~6.5)を好むため、苦土石灰や土壌pHバランス材を使用してpH値を調整しておくと良いでしょう。
水はけの悪い土壌では通気性が悪く、過湿状態が長引いて根腐れを起こすことがあるため、粘土質土壌での栽培は避けるべきです。もし土壌の水はけが悪い場合は、赤玉土を混ぜたり、軽石やパーライトを混ぜたりすることで改善できます。また、排水性を高めるために高さ10cmほどの畝をつくることもおすすめです。
苗の植え付けは霜の心配がない春から初夏が最適です。複数の株を植える場合、株間は20cm以上、アフリカン種であれば30cm以上の間隔をあけましょう。植え付け時は根鉢を崩さないように注意しながら、穴に配置します。穴を掘る際は、根鉢の高さが地面と同じか少し高くなるように調整します。
地植えの場合、基本的には自然の雨に任せても問題ありませんが、降雨のない日が続いて極端に乾燥したら水を与える必要があります。鉢植えと比較すると、地植えは土の量が多いため保水力が高く、水やりの頻度は少なくて済みます。夏場の暑い日中に水やりをすると、水温が高くなって根を傷めることがあるため、朝または夕方の涼しい時間帯に与えるようにしましょう。
元肥として緩効性肥料を土に混ぜ込んでおき、開花期間中は月に1回から2回程度、液体肥料を与えます。ただし、肥料の与えすぎには注意が必要です。窒素成分が多すぎると葉ばかりが茂って花付きが悪くなることがあります。
地植えの場合、一年草タイプは冬になると枯れてしまうため、冬越しの準備は特に必要ありません。多年草タイプを地植えする場合は、株元にマルチング材を敷いて地温を安定させ、寒さから根を保護すると良いでしょう。
花時期と開花のサイクル

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マリーゴールドの花時期は品種や地域によって異なりますが、一般的には4月から11月頃まで長期間にわたって花を咲かせます。フレンチマリーゴールドの開花時期は5月から7月と9月から11月の年2回あり、アフリカンマリーゴールドは5月から11月にかけて1回の長い開花期があります。ただし、これは関東基準の目安であり、地域差や年次の気温差により変動します。
開花期間を長く楽しむためには、日々のお手入れが欠かせません。枯れた花をそのままにしておくと、種をつくることにエネルギーが使われてしまい、次の花が咲きにくくなります。花がら摘みをこまめに行うことで、株のエネルギーが新しい花芽の形成に向けられ、長く花を楽しむことができます。
真夏の暑さで一時的に花が少なくなることもあります。高温期には花を休むことがあるため、この時期に適切な切り戻しを行えば、秋に再び美しい花を咲かせてくれます。切り戻しの具体的な方法については、後述する「切り戻し時期と方法」の章で詳しく解説します。
マリーゴールドは比較的長い開花期間を持つ植物ですが、気温が15℃以下になると生育が鈍化します。冬になると一年草タイプは枯れてしまいますが、多年草タイプであれば適切な管理のもとで翌年も花を咲かせることができます。
植え時期はいつが最適?
「マリーゴールド」
今年も種から育てたのが、開花しました😆
今年は3回種蒔きして、育ったのがあと5本ある😀何処に植えようか🤔
ジニアも種蒔きしたのがそろそろ地植えの時期だな😊 pic.twitter.com/gWjipolUj5
— 出雲_神戸の郷めだか (@dan2kandachi) May 31, 2024
マリーゴールドの種まき時期は、気温が15℃以上に安定する春先が最適です。地域によって異なりますが、一般的には3月下旬から5月中旬が適しています。種まきに適した温度は20℃から25℃程度で、この温度が保てる時期を選ぶことが発芽成功の鍵となります。
秋まきも可能ですが、温暖な地域に限られます。寒冷地では秋に種をまいても気温が低すぎて発芽しないか、発芽しても冬を越せずに枯れてしまうことが多いため、春まきが一般的です。温暖な地域であれば、夏以降に種まきして秋から冬の開花を楽しむこともできます。
苗の植え付け時期は、霜の心配がない春から初夏が最適です。具体的には4月から6月頃に植え付けを行うと良いでしょう。この時期であれば気温が安定しており、苗が新しい環境に適応しやすくなります。購入した苗は、本葉が6枚から7枚になったタイミングで植え付けるのがおすすめです。
種から育てる場合、発芽には5日から10日程度かかることが目安です。芽が出始めたら、日当たりの良い場所に移動させ、徐々に外の環境に慣らすようにします。双葉がしっかりと育ったら間引きを行い、本葉が3枚から4枚出たらひと回り大きなポットに植え替えましょう。
種まきから開花までは約50日から60日程度かかります。夏のイベントやお盆、秋のガーデンに彩りを添えたい場合は、逆算して種まきの時期を決めると良いでしょう。
育て方で重要な摘芯のタイミング

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摘芯はマリーゴールドを健康に育て、たくさんの花を咲かせるために重要な作業です。摘芯とは、植物の先端部分を切り取ることで、脇芽の成長を促す技術のことを指します。生育初期に摘芯を行うことで、マリーゴールドは新しい枝を多く分岐させ、茂りのある株に育ちます。
摘芯の最適なタイミングは、本葉が6枚から10枚程度、または草丈が15cm前後になった頃です。この時期に先端から2節ほどの場所をカットすることで、脇芽が伸びて花がたくさんつきやすくなります。摘芯を行わないと、縦に伸びるだけで横に広がらず、花の数も少なくなってしまうことがあります。
摘芯作業は清潔な剪定バサミを使って行いましょう。傷口からの感染を防ぐため、道具を消毒してから使用することをおすすめします。切り取った部分は、放置せずにすぐに片付けることで病害虫の発生を防ぐことができます。
摘芯後は、株が活発に成長しようとするため、追肥を行うと良いでしょう。ただし、肥料の量には注意し、与えすぎによる葉の過剰な茂りを避けるようにします。適切な摘芯を行うことで、バランスの良い美しい株に育てることができます。
剪定や摘芯の作業時には、葉や茎に触れるとかぶれを生じる場合があります。作業の際は手袋の着用を推奨します。また、食用にする際は種類の同定と無農薬管理を徹底してください。
切り戻し時期と方法
おはようございます。
マリーゴールドです。😊
もう切り戻しは済みましたか。😀
半分くらいに切り戻しておけばコスモスが咲く頃沢山🌻花を付けてくれますよ。🥹 pic.twitter.com/CqeSpONi4v— 雀の餌やり (@s6ZEXwllzbaWQDg) August 22, 2024
切り戻しは、マリーゴールドを長く楽しむための重要な作業です。切り戻しを適切な時期と方法で行うことで、新たな花芽の発生を促し、株全体の形も整えられます。マリーゴールドは開花期間が長いものの、そのままにしておくと一度しか花を咲かせないことがほとんどです。
切り戻しに最適な時期は、7月から8月頃と9月頃の2回です。真夏の極端に暑い時期は避け、気温が少し落ち着いたタイミングを選びましょう。7月から8月の切り戻しでは、草丈の約半分程度まで思い切ってカットします。このように大胆に切り戻すことで、株に負担をかけず、新たな芽の成長を促せます。
9月頃には根元に近い部分で、花茎を最初の健全な葉(節)まで戻して切ります。これにより株全体のバランスが良くなり、晩秋まで花を楽しむことが可能です。満開になった後にバテはじめる時期がありますので、その際に思い切ってばっさり花や茎を切ることで、また大きな花を咲かせてくれます。
切り戻しと同時に追肥を行うことも大切です。切り戻し後は株が活発に成長しようとするため、適度な追肥で栄養を補給します。ただし、真夏の高温期には施肥を控え、灌水と風通しの確保、必要に応じて半日陰への移動など、環境管理を優先しましょう。涼しくなってから追肥を再開します。
切り戻しを行う際の注意点として、清潔な剪定バサミを使うことが挙げられます。これにより、傷口からの感染を防ぎ、株の健康を維持できます。また、切り取った部分は放置せず、すぐに片付けることで病害虫の発生を防ぐことができます。
8月末から9月初めを目途に切り戻しを行うと、比較的長く11月頃まで咲きます。剪定ばさみなどで大胆にやってみると、その分花も長持ちします。ただし、地域や気温により最適な時期は変わりますので、目安として考えてください。
花が終わったらどうする?

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花が咲き終わった後の処理は、マリーゴールドを長く楽しむために非常に重要です。枯れた花をそのままにしておくと、雨に濡れたときに腐って病気の原因となったり、種が結実して株の栄養がとられて弱ってしまったりします。花がら摘みをこまめに行うことで、次の花が咲きやすくなり、病害虫の発生も予防できます。
花がら摘みのポイントは、花茎を最初の健全な葉(節)まで戻して切ることです。茎が残っていると見た目も悪く、病気の原因にもなることがあります。清潔な剪定バサミを使って、適切な位置でカットしましょう。
枯れた花を取り除いた後は、葉の上や株元などに落ちている花がらも回収しておきましょう。地面に落ちた枯葉や古い茎を放置すると、病害虫の温床になりやすいため、こまめに掃除することを心がけます。また、植え付けた株の周りにマルチング材を敷くことで、株の保温効果を高めるとともに、病害虫の繁殖を抑制できます。
花が完全に終わった後、翌年も楽しみたい場合は種を採取する方法があります。茶色く枯れる頃には種ができているため、摘み取って乾燥させ、保管しておきます。種まき適期が来たら、土へまいてあげましょう。ただし、採取した種からは親株と異なる形や色の花が咲く可能性があるため、翌年も同じ花を観賞したい場合は、種を新しく購入したほうが良いでしょう。
一年草タイプのマリーゴールドは冬に枯れてしまうため、花が終わった後は株ごと抜いて処分することになります。多年草タイプの場合は、花後に全体的に切り戻して乾かし気味に水やりを続けると、春に再び芽吹きます。
育て方のポイント:種まきと保存

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マリーゴールドの種まきは比較的簡単で、発芽率も高いため、初心者にもおすすめです。種まきの準備として、まず水はけの良い土を用意します。育苗トレイやポリポットを使用すると管理しやすくなりますが、鉢や花壇などに直接まいてもかまいません。
種まき前の浸種は基本的に不要です。マリーゴールドの種は浸種しなくても高い発芽率を示します。もし浸種を行う場合でも、数時間程度までに留めましょう。長時間浸けすぎると過湿や腐敗のリスクがあるため、注意が必要です。
種まき用の土を準備し、小さなポットや育苗トレイに土を入れます。種をパラパラとまき、土を薄く約5mm程度かぶせましょう。マリーゴールドの種は薄く覆土することで発芽しやすくなります。霧吹きで優しく水をかけ、土を湿らせます。発芽までの間は、直射日光を避けた明るい場所で均一に保湿し、20℃から25℃を目安に保温しながら管理してください。
発芽には5日から10日程度かかることが目安です。芽が出始めたら、日当たりの良い場所に移動させ、徐々に外の環境に慣らすようにします。双葉がしっかりと育ったら、間引きを行います。ポットの場合は1本から2本を残し、育苗トレイの場合は10cmから15cmの間隔を確保します。本葉が3枚から4枚出たらひと回り大きなポットに植え替え、本葉が6枚から7枚出たら庭やプランターに植え付けます。
種の採取方法
マリーゴールドは、花が枯れた後に採取することで、翌年の種まきに利用できます。種を採取する場合は、花がら摘みをせずに管理してみましょう。枯れた花を切り取り、中の種を取り出します。種は黒く細長い形状をしており、手で簡単に取り分けることができます。
取り出した種は、風通しの良い場所でしっかりと乾かした後、紙袋や密閉容器に入れて冷暗所で保管します。乾燥が不十分だと種が腐る可能性があるため、じっくり時間をかけて乾かすことが大切です。小さな紙袋や密閉容器を利用すると良いでしょう。この際、品種や採取日を記載しておくと、翌年の種まき計画が立てやすくなります。
正しく採取し保管した種は高い発芽率を誇り、新しいシーズンに健康な苗を育てる第一歩となります。種から育てたマリーゴールドは、購入した苗よりも愛着が湧くことでしょう。ただし、前述の通り、採取した種からは親株と異なる花が咲く可能性があることを理解しておきましょう。
種の保存は冷蔵庫の野菜室で行うこともできます。湿気の少ない環境で保管することで、種の鮮度を保つことができ、発芽率を高めることができます。清潔な培地で均一に保湿することも大切です。
病害虫対策について
マリーゴールドは線虫抑制などでコンパニオンプランツとしてしばしば紹介されますが、植えるだけで広範な害虫を防ぐ効果は限定的です。品種や栽培条件、処理方法(緑肥としてすき込むなど)によって効果は大きく変わります。実際には、マリーゴールド自体にも害虫が発生することがあるため、個別の対策が必要です。
主な害虫としては、アブラムシ、ハダニ、コナジラミなどが挙げられます。アブラムシは新芽や若い葉の裏に発生しやすく、3月から5月にかけて特に注意が必要です。見つけたら早めに駆除スプレーで対処しましょう。ハダニは気温が高く乾燥する時期に発生しやすく、葉に白いカスリ状の跡が現れます。適度な湿度を保ちながら葉を観察し、被害が見られた場合は殺ダニ剤を散布します。コナジラミも高温期に発生しやすいため、風通しの確保や粘着トラップの設置が有効です。
病気としては、灰色かび病、立ち枯れ病、斑点病などに注意が必要です。灰色かび病は梅雨時期に特に発生しやすく、枯れかけた花や葉に灰色のカビが発生します。風通しを良くし、花がらを放置しないことが予防になります。
立ち枯れ病(苗立枯病)は地際部が黒変し、くびれて倒伏する症状が典型的です。過湿や低温時に発生しやすいため、清潔な用土を使用し、過湿を回避し、風通しを確保することが大切です。一方、葉や茎に斑点が現れる場合は斑点病の可能性があります。こちらも風通しの改善と適切な水やり管理で予防できます。
害虫・病気 | 発生時期 | 症状 | 対策 |
---|---|---|---|
アブラムシ | 3月~5月 | 新芽や葉裏に発生 | 駆除スプレー、風通し確保、粘着トラップ |
ハダニ | 高温乾燥期 | 葉に白いカスリ状の跡 | 葉水、殺ダニ剤、適度な湿度維持 |
コナジラミ | 高温期 | 葉裏に白い小虫 | 粘着トラップ、防虫ネット、風通し改善 |
灰色かび病 | 梅雨時期 | 灰色のカビ発生 | 風通し改善、花がら摘み |
立ち枯れ病 | 苗の段階 | 地際部の黒変・倒伏 | 清潔な用土、過湿回避、風通し確保 |
斑点病 | 高温多湿期 | 葉や茎に斑点 | 風通し改善、適切な水やり管理 |
総括:マリーゴールドの育て方!冬越し・鉢植え・地植え・摘芯完全ガイド
- 一年草タイプは日本の露地栽培では冬に枯れるため基本的に冬越しは困難
- 多年草タイプのレモンマリーゴールドやミントマリーゴールドは冬越し可能
- 生育適温は15℃から25℃で寒さに弱い性質がある
- 多年草タイプの冬越しは概ね10℃以上を目安とし低温時は乾かし気味管理
- 耐寒温度は環境や株の状態によりおおむねマイナス3℃からマイナス7℃程度
- 鉢植えは市販の花用培養土または排水性と通気性を重視した配合を使う
- 鉢植えは土の表面が乾いたら水やりし地植えは基本的に雨に任せる
- 日当たりと風通しの良い場所で管理することが重要
- 開花時期は4月から11月頃まで長期間楽しめるが地域差や気温差で変動
- 種まき時期は3月下旬から5月中旬で気温15℃以上が目安
- 種まき前の浸種は基本不要で行う場合も数時間程度まで
- 発芽管理は直射日光を避けた明るい場所で20℃から25℃を保温
- 苗の植え付けは霜の心配がない4月から6月頃が最適
- 本葉が6枚から10枚または草丈15cm前後で摘芯を行い脇芽を増やす
- 切り戻しは7月から8月と9月頃の2回行うと秋まで開花する
- 真夏の高温期は施肥を控え灌水と風通しの確保を優先する
- 花がら摘みをこまめに行うことで次の花が咲きやすくなる
- 種の採取は花が枯れた後に行い冷暗所で保管する
- 食用利用は主にミントマリーゴールドで種の同定と無農薬管理が必須
- 線虫抑制などで紹介されるが植えるだけで広範な害虫を防ぐ効果は限定的
- アブラムシやハダニなど個別の害虫対策が必要
- 立ち枯れ病は地際部の黒変と倒伏が特徴で過湿回避が重要
- 作業時は手袋着用を推奨し皮膚刺激や光毒性に注意
- 一般家庭の条件では一年草タイプの長期維持は難しく数年で株が衰えやすい